INTERVIEW 021 サイダーガールさん
INTERVIEW 021 May.01.2018

サイダーガールさん

アメリカンガールズロックユニット・PASSPO☆によるインタビュー連載企画! 第21回目のゲストは、3ピースバンド・サイダーガールの皆さん。5月に対バンを予定しているPASSPO☆が、サイダーガールの音楽作りについてや、顔出ししない理由についてなど、気になるアレコレを聞きました!

編集=原カントくん、岸野愛 撮影=川村将貴
INTERVIEW 021 サイダーガールさん 写真1
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岩村 「まずは5月27日の対バン、よろしくお願いします! サイダーガールさんと一緒にやりたいって思ったきっかけなんですけど……」

藤本 「皆さんのCDジャケットを描かれているイラストレーターのかとうれいさんの個展に行ったことがあって。かとうさんのTwitterで、いつもサイダーガールさんのリリース情報を見たりしていたので、すごい気になっていたんですよ。そうしたら、振り付け師の先生やマネージャーが、すごくサイダーガールさんが好きってことが分かって今回対バンを」

サイダーガール 「ありがとうございます」

玉井「びっくりしませんでした? 急に対バンの話がきて」

岩村 「(PASSPO☆を)知ってました?」

Yurin 「はい、マネージャーがパッセンジャー(PASSPO☆のファン)なんですよ」

PASSPO☆ 「えー!!」

「だからよくライブ映像を見たりしてて。だいぶ前から、知ってました」

フジムラ 「めちゃめちゃ前から」

PASSPO☆ 「ありがとうございます!」

藤本 「サイダーガールさんを組む前に、皆さんそれぞれ音楽活動してたんですよね。どんなふうに活動していたんですか?」

Yurin 「2人(知・フジムラ)はVOCALOIDを使って曲を作ってたんですよね。僕はその曲を歌ったりとかしてて。同じニコニコ動画で活動してて、そこで知り合ったっていう感じです」

藤本 「そこからバンドへは、どういう経緯で?」

「僕の曲をよくボーカル(Yurin)が歌ってくれてて、昔からその声がすごい好きだったんです。で、僕もバンドやりたかったんですけど、すごい引きこもりだったんで家で曲作ったりとかしてて。だから、ちょっと我慢できないくらいバンドやりたいなって思ったときに誘ってみたんです。誘うまで半年ぐらいかかっちゃったんですけど」

フジムラ 「バンドのことは、先に僕に話がきて。僕はもう、二つ返事でOK出したんですけど」

「LINEで、すぐね」

フジムラ 「そう、LINEでね。で、Yurin誘おうって思ってるんだよねって話を聞いて、そっから半年ぐらいたって、『誘った?』って聞いたら、『いや、まだ声掛けられてない』って(笑)」

「結局、別の人伝いに僕が誘いたがってるよみたいなのをYurinが聞いて、入ってくれました」

安斉 「女子の告白じゃないですか(笑)」

藤本 「それって、いつぐらいですか?」

「2014年かな。結成して、今、4年目なんですけど。それまで全然、バンドとかやったことなくて」

藤本 「ずっと音楽には興味があって?」

「そうですね。学生の頃からコピバンとかやってたりはしてました」

藤本 「どういうアーティストをコピーされてたんですか?」

「(ザ・)ブルーハーツとか。今はギターやってるんですけど、当時はドラムやってましたね」

PASSPO☆ 「そうなんだ」

Yurin 「BUMP(OF CHICKEN)とかかな」

フジムラ 「僕はACIDMANっていうバンドのコピバンをずっとやってました。そのメンバーとはすぐ解散しちゃったんですけど、そっから6年ぐらいバンドやってなくて。で、今、誘ってもらってバンドやってる感じです」

増井 「楽曲のコンセプトが“炭酸系ロック”ですけど、それはどうやって考えたんですか?」

「僕がネットで活動してたとき、ラムネっていうハンドルネームを使っていて。そのときから炭酸系ロックを自称してて、それをそのままバンドの曲のコンセプトに持ってきた感じですね」

増井 「なるほど。自分の名前がシュワシュワしてるから」

「シュワシュワして……」

PASSPO☆ 「(笑)」

「名前に引っ張られたかはわかんないんですけど、曲作ってたときも、自分で夏っぽいなって思う曲が好
きだったりはしました」

増井 「どのMV見ても、すごく“すっきりする”というか、爽やかで、素敵な曲が多くて」

「そうですね。そういうコンセプトをスタッフの人もすごく気にしてくれてて。MV作るときも女子高生(サイダーガール)を出すっていうので一貫してるので、伝わってたらうれしいな」

Yurin 「若い。若さが、まぶしいですよね」

「自分たちが、そんなきらきらしてないから」

フジムラ 「助けられてる(笑)」

Yurin 「僕ら顔出ししてないぶん、女の子にMVに出てもらって、きらきらを補ってもらってるみたいな感じです(笑)」

増井 「その、顔出ししない理由って?」

Yurin 「ネットで活動したときに顔出して活動するっていう文化がなかったので、そのままその名残だったんですけど。でも結局、顔出さないことによって、音楽をより集中して聞いてもらえてるなっていう実感がちょっとあるので。顔出ししないことが功を成してっていうか、逆に良かったかなって思ってますね」

PASSPO☆ 「なるほど」

「やっぱプライベートとか、ネットリテラシーを大事にしたいし。地元の友達とかにバレたくなくて……」

PASSPO☆ 「(笑)」

「地元の友達には言ってないですね。親は、妹が『ネットで曲、作ってるらしいよ』みたいに言ってバレちゃったんですけど」

「すごいですね。よくバレずにここまで」

「なんか恥ずかしいんですよね。ラムネって名前だし」

「かわいい」

「自分の曲を発表する機会が全然なかったので、自分のことを知ってる人に聴かれるっていう抵抗が最初はすごいあったんです。今はないですけどね」

「曲は皆さんで作られるんですか?」

「一人一人作ってて、最終的にみんなで合わせてます」

安斉 「けんかとかしないんですか? 3人で」

Yurin 「けんかはしないけど……1人でぶち切れてることは多々ある。マネージャーによく、僕、八つ当たりしちゃうんで。それぐらいかな。メンバー内はそんなにないです」

PASSPO☆ 「いい人そうなのに(笑)」

増井 「3人で遊んだりすることはありますか?」

フジムラ 「たまにラーメン食いに行ったりはします。遊びにはあんま行かないよね」

「地方に行ったら、ラウンドワン行ったりはする」

PASSPO☆ 「仲いい!」

Yurin 「遠征先とかね」

フジムラ 「前、次の日7時起きだったんですけど、朝の4時までダーツやってました(笑)。福岡で」

「すごい。楽しんでる(笑)」

Yurin 「だから仲いいほうでは、あるのかな」

「穏便だしね」

藤本 「じゃあ、グループにとっての危機というか、バラバラになるかもみたいなことも、まだないですか?」

Yurin 「それは、あるっちゃあるかな」

フジムラ 「あるかな」

「あるっちゃある」

Yurin 「ドラムが脱退したりとかもあったし、ベースのフジムラが結構凹んじゃったときとかもあって」

フジムラ 「いろいろあって、ちょっとね」

Yurin 「1年目ですよね」

「恋の病を患ったときに……」

フジムラ 「掘り返さなくていい」

PASSPO☆ 「あー」「それは大きい」

「もうバンドをやるモチベーションとかもなくなるくらい凹んじゃって。だからそのときは、どうしよう、終わるかもって思ったり」

フジムラ 「ごめん、いや、それはないから(笑)」

「そのときは思ったよ、すごい凹んじゃってたから」

フジムラ 「そんなときもあったね」

Yurin 「でも、それが曲になったからね」

PASSPO☆ 「素敵!」

「アルバムに入ってる。無事に消化できたね」

フジムラ 「できたね〜、2年越しで。去年リリースしたファーストフルアルバムに『くらし』っていう曲があるんですけど、それがその曲なんです。ちょうど僕は、そのときに1人暮らしを始めて。1人暮らしの歌かと思いきや、もう一個の意味として、フラれて1人になった自分っていうのを書いた歌詞になってて。よかったら、ぜひ聞いてみてください」

PASSPO☆ 「聞いてみたい!」

フジムラ 「ぜひ聴いてください」

「しかしまさか、失恋がバンドの危機だったとは(笑)」

フジムラ 「すいません、なんか(笑)。しかもそういう経験を曲にしてしまうのって、はたから見たら気持ち悪いとか思われちゃうかもしれないけど」

PASSPO☆ 「いやいやいや」

Yurin 「いい曲だと思うよ」

「歌詞も、皆さんそれぞれですか?」

フジムラ 「大体は、曲作った人が、歌詞も書くみたいな感じです」

「たまに一緒に作ったりとかは、あったりしますけど」

「なんか珍しいですね。バンドって大体1人の方が、全部歌詞も書いたりとか、そういう方が多いなと思ってたんですけど」

Yurin 「確かに特殊っちゃ特殊かもしれないですね」

「(みんなで書けば)いろんな歌詞ができそうですね」

Yurin 「幅はすごい出しやすいですね。あと、1人で曲を作ってて詰まっちゃうときも、お互いにケアできるので」

「曲を作るペースは速くはないけどね」

「歌詞を書くときって、どこからスタートするんですか? メロディーとか詞とか」

フジムラ 「人によってですね。Yurinはまずオケを作って、そっからメロディーを考えるんでしょ?」

Yurin 「うん。伴奏作って、メロを作って、最後に歌詞っていうのが多いですね」

フジムラ 「僕はメロディーと一緒に歌詞できるときもあれば、まったくできずに、最後に全部付ける場合もあったりとか。まちまちですね」

「なるほど。自分たちで歌詞を書いてる方の、そういう意見をすごい聞きたくて」

Yurin 「結構3人とも書く歌詞の種類が違うよね」

「僕は自分じゃないとできてなかったことを、すごい大事にしてて。誰が書いても普通のことを書くより、これは自分なんだって割り切って、自分のことをできるだけ書くようにしてるというか。『きょう楽しかった』じゃなくて、『きょう楽しかったけど、あれはできなかったな』みたいなのとか、ちょっと斜に構えてる感じが結構自分ぽいなと思ったりしてるので、そういう自分の目線みたいなの見つけると、歌詞にもオリジナル性が出てくるような気がする。(PASSPO☆は)7人いらっしゃるんで、みんながそういう目線を持てるようになるとめちゃくちゃ面白くなるんじゃないかな」

Yurin 「ファンも知ってる性格が歌詞に出てたらすごい面白いと思う。でもそうじゃなくて、ファンが知らない、こういう一面もあるんだよみたいなのとか、二面性を持たせたりしたら、すごい幅も広がりそうだし、いいんじゃないかなとは思いますね」

PASSPO☆ 「ありがとうございます!」

Yurin 「恐れ多いですが(笑)」

安斉 「ちなみに私たち、今までは1部でバンドをして、2部はアイドルしてっていう形でツアーをやってたんですけど……今回はお客さまを招いて一つのものを、ちょっと階段を上ったところでやりたいなということで対バンツアーをやらせていただくんですが。皆さんは、対バンとかいっぱいやられるじゃないですか。そういうときに心掛けてることとかありますか?」

フジムラ 「何だろう?」

Yurin 「僕らもまだ、そういうのをつかめてないというか。実際、ぺーぺーみたいな感じだから、どんなことを心掛けていけばいいかいまだに悩むんですけど。でも自分たちらしさはちゃんと残しつつ、いかに対バン相手と全体を通してより良いイベントを作っていけるかみたいなことなのかなと。セトリだったりとかは、すごい気を付けたりしてますね」

PASSPO☆ 「なるほど」

Yurin 「でも、難しいですよね」

安斉 「難しい。毎回、悩みます」

Yurin 「悩みますね、いまだに僕らも」

藤本 「将来的に、サイダーガールとしてどうなっていたいとか思うことってありますか?」

フジムラ 「今も、よくアルバムとか作るときにみんなで話すのは、老若男女問わず、愛してもらえるバンドになりたいなってことですね。それはすごく日々思ってます。せっかく3人とも曲作れるし、いろんな曲作って、いろんな間口を広げて聴いてもらいたいなと思っていつも活動はしています」

PASSPO☆ 「なるほど」

「対バン相手も、音楽のジャンルであんまり縛られたくないとは思ってたんで、今回も出たいなって思いましたし」

Yurin 「めちゃめちゃ、うれしかったです」

PASSPO☆ 「ありがとうございます!」

Yurin 「全然、こちらこそ」

藤本 「引き受けてくれて、うれしかったです」

「もっといろんな活動をやってみたいなってのは思いますね」

藤本 「自分がやりたいと思ったことは、やってみる?」

「そうですね。ロックバンドだから、これしかやらないっていうのは、ちょっともったいないかなとは思って。いろいろやれたらいいなって思ってて。その“いろいろ”は、まだ探してる最中なんですけど」

藤本 「なるほど。ありがとうございます」

安斉 「最後に一つだけ聞きたいんですけど、サイダーガールさんにとって、サイダーガールとはなんですか?」

Yurin 「若い頃、10代の頃に、ずっとやりたかったバンド像というか、やりたかった音楽の形がサイダーガールかなって僕は思ってます。……どうですか?」

「言ってもらった感じですね。僕も、すごいやりたかったことだし。サイダーガールにとってサイダーガールは、“昔の憧れ”」

フジムラ 「憧れ」

安斉 「なんかすごい、いいですね」

「格好いいね(笑)」

フジムラ 「青春時代に青春できなかったものを、今、ぶつけているみたいな」

PASSPO☆ 「すごい」

安斉 「ありがとうございます」

フジムラ 「ちなみに最後、宣伝してもいいですか?」

PASSPO☆ 「ぜひ!」

フジムラ 「6月23日に赤坂BLITZでワンマンライブをやるので、お時間あったら遊びに来てください! これを読んでる人にもぜひ来てもらえたらなと」

藤本 「私たちもパッセン連れて行きましょう」

安斉 「(スケジュールを見て)森、マラソン大会、次の日ある」

「大丈夫、次の日は大丈夫!(笑)」