阿久津健太郎さん (サウンドプロデューサー)
アメリカンガールズロックユニット・PASSPO☆によるインタビュー連載企画! 第25回目のゲストは、PASSPO☆の“機長”こと阿久津健太郎さん。長年PASSPO☆の操縦桿を握ってきたサウンドプロデューサー・阿久津さんしか語れない、PASSPO☆の秘蔵エピソードも満載。じっくりお楽しみください。
玉井 「ちょっと近い存在過ぎて(笑)。今更、何から聞けばいいんだろう」
増井 「ホント(笑)!」
安斉 「まず、音楽を始めたきっかけから聞ききますか」
阿久津 「そこからね(笑)。よく『またまたー』って言われるんだけど、もともとは親が勝手に雑誌『ジュノン』のスーパーボーイコンテストに応募して審査通ったことがきっかけ」
根岸 「ジュノンボーイ!」
阿久津 「その前から、ちびっこモデルをやってたの。だから親が「いけるんじゃない?」みたいな軽いノリで写真を送ったら一次審査を通って最終審査まで行っちゃって」
岩村 「ちびっこモデルしてたっていうのは、何がきっかけですか」
阿久津 「気付いたらやってた。親がもともと芸能関係の人でもあったからね。3歳か4歳ぐらいからかな、CMやスーパーのチラシなんかに出てた。でも、12歳ぐらいになると、子どもじゃないから一気に仕事がなくなっちゃって。その頃か、俺、サッカー一筋だったから。中学校はサッカー部に入ってた」
根岸 「えー!初めてきいた」
藤本 「軽音部だったのかなって、勝手に思ってた」
岩村 「じゃあ、特技はその頃からサッカー?」
阿久津 「サッカーはもちろんだけど、ジュノンスーパーボーイコンテストを受けたときは、2カ月間、タップダンスを習った」
岩村 「意外過ぎる!」
森 「あっくんがダンス(笑)」
増井 「でも、それでいつ音楽に目覚めるんですか(笑)?」
安斉 「そこだよね(笑)」
阿久津 「もともと妹がずっと芸能界を目指してて、事務所の人との食事会に俺もたまたま付いて行ったの。その時に『じゃあ、2人とも事務所に来る?』って誘われて。でも、その時、俺ちょうどジュノンのコンテストに応募してた時だったから『じゃあ、そのジュノンの結果次第で決めよう』っていうことになって。そこで賞をいただけたから、じゃあ、やります、っていう、まあ一言で言えば運ですね」
岩村 「それでやっと、2人で音楽をやるってなったの?」
阿久津 「いや、そこからまたいろいろあって(笑)。賞をもらえたのは俺だけだったから、結局、俺が先に事務所に入って。でも、最初は1人でやることがなかったから、役者としてドラマに出させてもらったりしていたの」
PASSPO☆ 「見たい」
阿久津 「本当びっくりするぐらい、へたくそだった。しかも、いいドラマに出させてもらっていたから周りが本当に大御所ばっかりで、俺だけがいつも怒られてたの。あいぽんとかは分かると思うんだけど、セリフが少ないほど、実は難しくて。たった一言名前を言うのも、『あ、あ……』みたいな。それで役者に向いてないっていうのを早く悟って、これだとせっかく事務所に入れてもらっても、このまま残れないなって若いなりに察知して」
根岸 「すごい」
阿久津 「歌をやってる人が多く所属していた事務所だったから、恐れ多くも、『歌をやりたいです』って社長に言ったの。そうしたら、あっさり『おまえ、下手だから駄目だよ』って言われて」
増井 「ギターもやってなかった頃?」
阿久津 「やってなかった。ただ、『シンガー・ソングライターだったら考えてやってもいい』って言われて、そこから毎日だよ。機材買って、毎日打ち込み。みんな最初はバンドのコピーから楽器始めるじゃん。でも俺は、本当に作曲のためにギターを買ってもらって。それが16歳の時で」
安斉 「どうやって始められるんですか?」
阿久津 「最初は中学生の参考書。俺、中学校の音楽の授業もまともに受けてなかったから、まず中学校の参考書を買ってきて、四分音符ってこういうことなんだ……みたいな」
根岸 「音楽の勉強が、もう初心者っていう感じだった?」
阿久津 「そう」
森 「ピアノもやってなかったんですか?」
阿久津 「何もやってない。だから、本当に中学校の参考書から読み始めて。それで、そこから打ち込みを始めて毎日5曲ぐらいずつ作るようになったの」
根岸 「5曲?」
玉井 「すごい!」
森 「それはすごいな」
阿久津 「今と違って、本当に直接テープに録音していくから、デモを作るのも今よりは簡単と言えば簡単だった。最初は全然しょうもない曲だったけど、それを17のときから半ばぐらいまで毎日続けて、多分200曲ぐらいできたのかな」
森 「すげえ」
阿久津 「曲としては全然駄目だったけど、『取りあえず続けろ』って言ってもらえたから続けてたら、『これならいいよ』って言ってもらえた曲があって。それでソロデビューできたんだよね」
PASSPO☆ 「すごい」
岩村 「じゃあ高校時代とか、全然遊べなかった?」
阿久津 「遊べなかった。それまでサッカーをやってたからサッカー部入りたかったんだけど、事務所に入って仕事は忙しくさせてもらってたから、あんまり学校も行けなかった」
岩村 「学校も?」
阿久津 「うん。いつも体調悪いふりして、『今日は行けないです』って」
根岸 「そういう演技はうまいんですね」
阿久津 「そういう演技(笑)」
森 「仮病はうまい(笑)」
阿久津 「いや、本当に(笑)。でもドラマとか出るから、学校の生徒にはバレてたんだけど」
玉井 「芸能学校とかじゃなくて、一般の学校だったんですか?」
阿久津 「そう。だから、むしろ芸能活動は禁止だったんだけど、1年生のときはそれを知らなくて。でも、1年生の担任に正直に、『こういう仕事を事務所に入ってやってるので、休むこともあるかもしれないですけど、よろしくお願いします』って言ったら、『この学校は、本当は芸能活動はダメなんだよ。だから、うまくやれよ。俺は言わないであげるから』って言ってくれて」
安斉 「先生、優しい!」
玉井 「優しい」
阿久津 「その演技続けてたら、2、3年の担任はまったく気づかなかった」
森 「気付かないんだ(笑)」
阿久津 「本当に体調が悪いと思われてた。卒業式も仕事で行けなかったけど」
安斉 「めっちゃ体調崩す子じゃん(笑)」
阿久津 「卒業式のときに初めて、『おまえどうするんだ』みたいな」
根岸 「進路?」
阿久津 「うん、『そんな体調も悪くてこの先どうするんだ』みたいな」
森 「体が悪い子だと思われちゃったね」
根岸 「めっちゃ悪い子じゃん」
阿久津 「だからそのときに初めて言ったの。『実は、こういう芸能の仕事をやってます』って。そうしたら『ボケたか』って(笑)」
根岸 「確かに(笑)」
阿久津 「『まじか』って(笑)。本当にそのときまでうまくだませてた」
根岸 「すごいですね」
森 「音楽は、昔からいろんなジャンルを聞いてたんですか?」
阿久津 「そうでもなくて、最初、10代の頃に好きだったのがロックだったから、本当にロックしか作れなかった」
森 「事務所に入る前から、音楽を聞くのは好きだったんですか?」
阿久津 「そうだね。CDを買わないと聞けない時代だったから、好きなアーティストのCDは毎回リリースのたびに買って聞いて」
安斉 「そこから今の得意とするジャンルに変わっていったのって、何がきっかけだったんですか?」
阿久津 「今、PASSPO☆でやるようなロックは、本当に10代の頃から好きだったから自然と作ってたし、ZEROっていうアーティストをやってたときも、基本的にはロック的なものだからそれは作れてた。でもZEROの活動が終わって、作家をやりましょうってなったときに、ロックだけじゃ決まんないわけよ、曲が」
根岸 「ロックだけだと」
阿久津 「特にダンスを基本とするアーティストが多い事務所だったから、ダンス曲を作れないとっていうのがあって。本当そこが一番暗黒期だったんだけど、2年ぐらい毎日曲を出しても決まらなくて」
森 「それが何歳のときですか?」
阿久津 「それが22とか23」
藤本 「若い」
阿久津 「そう。本当にそのときは才能から辞めようと思ったぐらい。でも、何か作り続けてはいたんだよね、それでも。やっぱり作ることに対しては、単純に好きだったし、ハマってたから。だから、全然コンペの発注にないようなディズニーっぽい曲を作ったり」
PASSPO☆ 「聞きたい」
安斉 「もったいないよね」
玉井 「めっちゃ聞きたい」
阿久津 「どうせ決まらないからって自分が作りたい曲ばっかり作ってた時期もあったよ」
安斉 「すねた(笑)」
阿久津 「そう(笑)」
根岸 「かわいい(笑)」
岩村 「ステージに出る側から、裏方になったきっかけは何だったんですか?」
阿久津 「しょうがなく……って言ったらあれだけど、ZEROがなくなって、妹が歌をやめることになって、単純にそこからどうやって生きていくかって考えたときにその選択肢を選んだというだけなんだよね」
根岸 「1人で活動を続ける選択肢みたいなのはなかったんですか」
阿久津 「もちろんあったの。だから、その後も実は1回バンドもやってるし。事務所からも『機会があれば表舞台に出るチャンスもあげるけど、それがないうちは作家を頑張れ』って言っていただけていたし。でもそのチャンスがなかなかなくて最初の2年くらいは作り続けるしかなかった。そこからかな。好きな曲だけじゃなくて、いろんな人の曲をめちゃくちゃ聞いた。ジャズからR&Bから、とにかくオールジャンル。それからいろんなジャンルの曲が作れるようになっていったんだよね」
根岸 「やっぱり音楽聞くことって大事なんですね」
阿久津 「めちゃくちゃ大事。しかも、早いうちに聞くことが大事だと思う。その後も当然いろんな音楽を聞いてきたんだけど、ギリギリ21ぐらいまでに聞いた音楽が、いわゆる“ルーツ”になってると思うから。やっぱり若いうちに聞いた音楽が、自然と頭に残るっていうか。逆に言うと、30過ぎてから聞いた音楽って、自分が曲を作る上では何も残ってはないんだよね」
安斉 「作家として動いてから、PASSPO☆に会うまでは……」
阿久津 「すぐだったの。あれは……32〜33歳くらいだったと思う。『作家として1人でやってみたいので』ってことで。事務所に甘えさせてもらった部分もあったし、いい環境でもあったから、そこから1人でやるってことは僕にとって挑戦だったんだけど。そのタイミングでたまたま知り合いの知り合いが『社長がちょうどアイドルを作ろうとしてるから、何か曲があればお願いしますっていう話があるので、出してみる?』みたいな話をもらって。本当に辞めてすぐだったんだよね」
根岸 「すごい」
藤本 「すごいタイミング」
森 「運命的だ」
阿久津 「だから、すごいラッキーだった」
森 「ラッキーだ」
根岸 「ラッキー」
森 「うちらがラッキーだ」
阿久津 「しかも、最初からロックアイドルを作りたいっていうお話だったから、自分にも話がきた。あの辺のことは、運命的としか言えない」
PASSPO☆ 「すごい」
安斉 「初めてPASSPO☆に会ったとき、どう思いましたか。一人一人覚えてます?」
阿久津 「言っていいのかわかんないけど、前にいた事務所がすごく厳しい環境だったの。だから、ギターだって、下手だったらCDで弾かせないし、歌だって、下手だったら歌わせないよっていうのが、当たり前の環境だったから」
安斉 「そうですよね。それがプロだよね」
藤本 「(自分たちは)素人だったもん」
阿久津 「それで初めてレコーディングで会ったときに、取りあえずみんなロビーで超うるさいじゃん」
PASSPO☆ 「うるさかった(笑)」
岩村 「超覚えてる」
増井 「六本木だったね」
森 「地下みたいなところ」
阿久津 「それでいざ、『じゃあ、歌おうか』って言って、ブースに入ったら、みんな声小さいじゃん」
根岸 「出た。その話(笑)」
岩村 「2人ずつ歌ってましたよね」
阿久津 「そう。だから、そのときは結構斬新っていうか、びっくりしたかな」
根岸 「斬新(笑)」
PASSPO☆ 「言い方が優しい(笑)」
阿久津 「最初の頃は、俺もアイドルの仕事をするのは初めてだったから、無知だったし、メンバー1人のことがまだ見えてなかったかもしれないね」
安斉 「そう思うと、あっくんも初めてアイドル担当して、先生も初めてアイドルを担当して、事務所も初めてのアイドルで、私たちも初めての芸能活動で……慣れている人が誰もいなかったんだね」
森 「土台が一個もなかったよね」
安斉 「だから逆に、うんぽこみたいなレベルでも続いたのかもしれないね」
阿久津 「でも、そこに対して竹中先生だけは概念があったんだろうね。だから、あれは化学反応って言ったら変だけど、音楽のジャンルは全然違うのに、ちゃんとアイドルらしい振り……ていうのは、やっぱり竹中先生がいてくれたからこそだなって思う」
根岸 「懐かしいね。私たちは何歳だったっけ?」
森 「10代だよ。まだ制服着てたもん」
根岸 「そうだ」
玉井 「学校帰りとかにね」
根岸 「嫌だ〜」
安斉 「その頃からを知られてると思うと、はずいね(笑)」
根岸 「恥ずかしい(笑)」
阿久津 「今はみんな大人になってさ。今知り合ったら、普通に『きれいな子たちだな』って思うと思うんだけど、その頃のことが焼き付いちゃってるよね」
岩村 「子どもみたいな(笑)」
安斉 「いつまでたっても『もう20歳超えたの?』みたいなこと言うのって、そういうことですか?(笑)」
阿久津 「どうしてもあの頃のまま見えるんだよね。不思議なもんで」
安斉 「まま? まま見えてるの?」
森 「それは違うだろ(笑)」
根岸 「それはちょっと(笑)」
安斉 「だとしたら嫌なんだけど(笑)」
岩村 「でも、うちら的には、あっくん、30代と思ってないよね」
根岸 「それはそう」
阿久津 「それと一緒だよ」
安斉 「そうか。そういうことか。PASSPO☆の活動が9月22日で終わるじゃないですか。あっくん的には、その後ってどうしていくんですか?」
森 「確かに聞きたい」
藤本 「でも、仕事はいっぱいありますよね」
阿久津 「またゼロからスタートだよ。何回目だ(笑)。でも、こんなに近い場所で、プロデュースもさせてもらった経験はあんまり人生の中でもないから。それはすごいありがたかったよね」
森 「あっくん的にPASSPO☆を抜きにして、個人的にやりたい夢とかってあったりしますか?」
阿久津 「やっぱり変わらないかな。曲を作り続けて、それを歌ってくれる人がいる限り続けたいっていう」
岩村 「作り手だね」
藤本 「作り手だ」
森 「あっくんって、作曲家っていうのが一番当てはまるんですか? 肩書きとしては」
阿久津 「そうだね。アレンジもするけど、アレンジャーっていうタイプでもないし」
安斉 「でもめちゃくちゃしてくれてるよね」
阿久津 「するけど、アレンジだけの仕事ってそんなにやらないから。やっぱり詩曲ありき。でも、世に出てる作品としては、作詞のほうが全然多いんだよね。だから、編曲だけっていうのはやらないけど、作詞だけっていうのは結構多かった」
安斉 「あっくんの女子目線の歌詞って、どこから湧いてくるんですか?」
根岸 「確かに。PASSPO☆みたいな」
藤本 「すごい気になる。いつも聞いてて、どういう感性してるんだろうって思ってた」
阿久津 「あんまり言ったことなかったっけ?」
根岸 「ないない」
藤本 「聞きたい」
阿久津 「逆目線というか。自分の反省とかを含めて……」
森 「今までの経験で、相手の立場から書いてるってこと?」
阿久津 「そう」
安斉 「だとしたら、結構悪い男だな(笑)」
岩村 「そうだよね(笑)」
安斉 「気付いちゃった(笑)」
阿久津 「結構悪い男なの」
一同 「(笑)」
阿久津 「でも、そういう部分も含めて、本当にPASSPO☆に出会ってからは、めちゃくちゃ真面目だよ」
根岸 「なんですか。いきなり(笑)」
森 「出会う前は?」
岩村 「出会う前は?」
阿久津 「何が不真面目で、何が真面目か分かんないけどね(笑)」
森 「じゃあ、PASSPO☆に会ってから、天使に変わったんですか」
阿久津 「天使ってわけじゃないけど、正常に(笑)」
根岸 「正常に(笑)」
安斉 「正常より、ちゃんとしてるよね(笑)」
岩村 「でも、本当に事細かくじゃないけど、なんでこんな気持ちがわかるんだろうっていうか」
阿久津 「20代の頃とか、すごく怒られたから。相手に怒られて『そう思われてるんだ』とか『そう寂しくさせてるんだ』みたいなことに気づいた」
岩村 「悪い男だ。本当に(笑)」
玉井 「それは常にメモしてたんですか?」
阿久津 「いや。でも、言われれば、学ぶじゃん」
森 「学ぶんだね」
阿久津 「だからといって、改善はできないんだけどね」
安斉 「でも、それを歌詞にして、世に出せてるならいいよね」
藤本 「そうだよ。自分で改善してるのがすごいな」
阿久津 「逆にもちろん自分が経験したことを書くこともあるけどね。でも、いわゆる女の子が思う気持ちとかを書いているのは、そうやって書いてる」
岩村 「すごいよね。『Mr.Wednesday』とか、びっくりしましたもん。なんでこんな気持ちになれる?って」
阿久津 「女の子のアーティストの曲を勉強したこともあるし、もちろん全部が全部経験談ってわけじゃないけどね」
安斉 「吸収する力が、めちゃくちゃすごいんですね。」
森 「逆にあっくんが書く、ガチな男目線の恋愛の曲とか見てみたい」
玉井 「確かに聞いてみたい」
阿久津 「男性アーティストもいっぱいやってきたんだけど、男性のほうが難しいんだよね」
玉井 「そうなんだ」
阿久津 「男だと言い方が回りくどくなるというか。女の子、特にPASSPO☆みたいなサウンド感のある曲だと、割とストレートに言えるから書きやすかった」
安斉 「最近のJ-POPとか恋愛の曲を書いてる人って、あんまりストレートに好きとか愛してるって言う歌手が少なくなってるらしいですね。特に男性は」
阿久津 「なってると思う」
根岸 「確かにね」
安斉 「そういうのもあるのかな」
阿久津 「だから、そういう歌手は難しいよね。いろんな伝え方をしなきゃいけない」
玉井 「PASSPO☆の曲、今までたくさん作ってくれたじゃないですか。その中で、あっくん的に、これが一番!っていうのはあるんですか? これもう最高傑作だわ、みたいなの」
森 「聞きたい」
阿久津 「何だろう? でも、やっぱり『I』、『Wish on a star』の2曲かなぁ。あの時期は、自分的にも感情的に書いてて。2曲とも、あんまり時間をかけずに書けてる詩なんだよね。乗ってる時期っていったら変だけど」
安斉 「スランプの反対みたいな」
阿久津 「そう。スラスラ書けた時期って、あの時期だったかもしれない。もちろんああいうメンバーありきだと思うんだけどね。別に自分だけで書けたわけじゃない」
岩村 「『I』……」
根岸 「どうした?」
岩村 「『I』もだし、私、『Fairy Tale』聞いたときも思ったんですけど、あっくんってそんなめっちゃ日常的に、こういうことあったんだみたいなのは話さないじゃないですか。
玉井 「そんなのやってないよ(笑)」
岩村 「でも、すごいうちらのことを見てくれてるんだなって思って」
森 「核心を突いてるんですよね」
根岸 「それはめっちゃ思う」
阿久津 「そういう話はよく言ってもらうけど、『少女飛行』とかもそんなに苦労してない。だから、書けるタイミングって、自分でコントロールできないし、やっぱりそのメンバーや歌うアーティストにインスパイアされてることがいっぱいあるから。不思議だよね。スパッと出てきたのが、逆にすごいいいものだったりとかするし」
安斉 「そういうあっくんが書いてくれた歌詞で、こう思ってくれてるんだ、こうやって前を向けって言われてるんだなって思って。『Fairy Tale』とか、特にそうでした。7人で頑張っていこうみたいになってるときに、あっくんが書いてくれた歌詞にワーッて鳥肌立った。歌詞見たとき」
阿久津 「でも、やっぱりメンバーありきじゃない? そういうのは。そういう意味では、PASSPO☆とはそういう距離感でずっとやれてたから、詩は書きやすかった」
玉井 「じゃあ、PASSPO☆の好きなところ言ってください」
根岸 「いくつでもいいですよ!」
増井 「求めるね。めっちゃ求めるじゃん(笑)」
阿久津 「すごいズバッて来たね(笑)」
安斉 「それぞれ言ってください!」
一同 「(笑)」
阿久津 「それぞれはちょっと長くなり過ぎるから(笑)」
根岸 「長くなる(笑)」
阿久津 「収まらないでしょう(笑)。でも、PASSPO☆は言ってしまうと、自分と正反対なんだよね。だから、ある意味、ちょっと憧れの存在。俺、昔から割と1人で生活してたの。もちろんバンドとかグループもやったけど、向いてなかったんだよね。どうしても自分でやりたがるというか、1人で仕上げたくなるというか。いわゆる団体行動みたいなのが、あんまり得意じゃなくて。しかも、みんなでわちゃわちゃする感って言ったら変だけど、そういう目立ってる所には、あんまりいないっていうか。だから、PASSPO☆みたいな雰囲気のグループ、ずっとうらやましいなと思ってた」
安斉 「うらやましいって思われてたんだ。まじか」
玉井 「まじか」
増井 「まじか」
藤本 「そうなんだ」
根岸 「まさかの」
阿久津 「そこは、いつもいいなって思ってた」
根岸 「知らなかった」
増井 「最後にあっくんと一緒にステージ立ちたいね」
岩村 「本当だね」
藤本 「出ましょうよ、中野」
根岸 「出ちゃおうよ」
増井 「出たい!」
玉井 「中野は出ちゃおうよ」
PASSPO☆ 「出るっしょ」
根岸 「最後だもんね」
安斉 「あっくんに帽子を1人ずつ返していく」
増井 「めっちゃいいじゃん」
安斉 「最後、聞きますか」
森 「何て聞けばいいんだろう?」
安斉 「あっくんにとって……」
森 「音楽とは? かな」
増井 「だね」
阿久津 「いつもは何を聞くの?」
森 「グループさんだったら、そのグループ。例えば、私たちだったら、『あなたにとって、PASSPO☆とは?』みたいな感じで聞いてるんですけど」
阿久津 「なるほど。難しいな。音楽か……何だろう。ちょっと考えさせて」
根岸 「どうぞ。じゃあ、しゃべっとこう」
藤本 「聞かないの? うちら(笑)」
増井 「うちら、ウェブで読むんだ(笑)」
阿久津 「(笑) 何だろう。あんまり考えたことないな。音楽とはって」
根岸 「そうですよね」
阿久津 「でも、それぐらい、逆に言うと、ないと本当にやばいかもね。音楽がないと、本当にダメ人間だから。びっくりするぐらい」
玉井 「長生きしてください」
阿久津 「だから、意外と老いてんねん。自分でも」
増井 「嫌だ」
一同 「嫌だ」
根岸 「嫌だよ。本当死なないでほしい。本当に」
安斉 「じゃあ、あなたにとって音楽とはは、ないとやばいもの?」
一同 「ないとやばい……」
阿久津 「ないとやばい」
根岸 「やばい。急に、チャラい最後(笑)」
岩村 「最後の最後で(笑)」
根岸 「ないとやばい(笑)」
阿久津 「大丈夫? こんな最後で(笑)」
森 「大丈夫です(笑)」
根岸 「かっこいいです(笑)」
安斉 「皆さんは『人生です』とか『家族です』とか言ったりする感じでしたけど(笑)」
阿久津 「普通、そうだよね(笑)」
森 「最後の最後でPASSPO☆っぽくなっちゃったね(笑)」
根岸 「似てるんじゃないですか。うちら」
玉井 「(PASSPO☆に)憧れてるから(笑)」