INTERVIEW FILE 014 松永天馬 (アーバンギャルド)
PASSPO☆のさこてぃこと槙田紗子さんによるインタビュー連載「マキタジャーナル」。取材や文章を書くことに興味のある彼女が、様々なジャンルの一線で活躍する方々にインタビューし、インタビュー力を鍛える企画です。今回のマキタジャーナルは、唯一無二の世界観で熱狂的ファンを持つテクノロックバンド「アーバンギャルド」のリーダー、松永天馬さん!お互い“コミュニケーション弱者”を自認する者同士のこじらせトーク、ハラハラしつつもスタートです。
槙田 「まぁありますけど。」
松永 「アイドルの方からその発言を聞いちゃいけない気もしますけど(笑)。でもアイドルは人間性みたいなところまで評価対象にされちゃうから、最初のうちはもっと評価されるように頑張ろう!いい子になろう!って思うけど、もっといい子になるってどういうこと?ってなっちゃうとだんだんエヴァンゲリオンの最後の方みたくなっちゃうわけじゃないですか(笑)。」
槙田 「個別握手会とかえぐいですもんね。」
松永 「うん。ヘリコプターで上空から見たら棒グラフになっている訳じゃないですか!それってすごく酷ですよね。」
槙田 「それがその人の商品価値だということになりますよね。」
松永 「そう。でもそれは君自身の価値とはまた違うものなんだよってポンと肩を叩いて言ってあげたいけど……。」
槙田 「アハハ(笑)。」
松永 「そうだ。それで思い出したんだけど、昔は勉強ができる人はいい会社に就職できていい人生が送れることが保証されている世の中で、それはそれでシビアだなぁと思っていました。僕が学生の頃くらいまではギリギリそういう学歴社会で、だけどその後AO入試とか色々なものが追加されていって世の中がコミュ力を重要視し始めたんですよね。今の10~20代にとって一番価値がおかれているのはコミュ力になってるんじゃないかなと思うんですよ。コミュ力が高い人の方が出世できるとか、いい人生が送れるってなってきているんじゃないかなぁと最近思っていて。」
槙田 「はぁ。同い年の友達がみんな就職活動中なんですけど、バイトとかの話を聞いていると本当に仕事が出来る子でも、面接という場になると緊張して何も話せなくなっちゃう子もいるんです。働いてからは切り替えられるし接客も十分にできるんですけど、面接官の前だと構えすぎちゃったり。そういう子の仕事が出来る面は見てもらえないんだぁってすごく残念な気持ちになったりします。」
松永 「コミュ力だけで人間を測るなと言いたいですよ!いいんですよ!コミュ力が低い人はコミュ力が低いなりに生きれば。不器用に生きればいいんですよ。そう思いませんか?」
槙田 「はい!(笑)」
松永 「Not in theoryでしょ?!そこは!」
槙田 「あはははははは(笑)。ぶっこまれたーーー(笑)。でもそこはもう変えられない現状な気もしますね。コミュ力が高い人がうまくいくっていうのは。」
松永 「今は情報化社会でSNSとかもうるさいじゃないですか、Facebookとかもいいね!しなきゃ!みたいな人いるじゃないですか。アイドルの方も、お客さんには全員にリプライ返さなきゃ!みたいな。コミュニケーションって人間が助けられるためにあるものなのに、それによって人間が追い詰められるような世の中になってきている。僕はそんな世の中で、孤独の大事さを説いていきたいなって思います。一人でいることを恐れないこと。」
槙田 「その方が後々楽なこともありますよね。やたら人といない方が困らないのになって思います。」
松永 「コミュ力ばかり上げると、人との関係性だけに依存してしまうというか。」
槙田 「たしかに。」
松永 「だからいいんじゃないですか?大学で一人でご飯食べてても。」
槙田 「はい!!!(笑)全然悪いことだとは思ってないですね(笑)。」
松永 「でも実際、歌詞とか文章を書くことって孤独にならないとできないんですよ。色んな情報をシャットアウトして、自分自身と向き合わなきゃいけないから、自分の内側の声は周りの人と喋ってると聞こえないというか。僕なんかも、全国ツアーの時なんかは、『北海道でジンギスカン食べた!』とかどうでもいいことばっかり呟いてるんですけど、レコーディングの時期になると内向的になっていくわけですよ。それでふと思ったことをつぶやいたら炎上したり(笑)。やっぱり歌詞を書く時期はコミュ障になりがちなんですよね。頭のなかで沢山話してるから、外にまでいかない。こういう取材とかもその時期と被ると廃人みたいになってしまって何も話せなかったりするんですよね(笑)。」
槙田 「えっ、今は大丈夫ですか?」
松永 「今はちょうど中日というか。」
槙田 「よかったです。ツアーと言えば、10月からツアーですよね。」
松永 「おっ!宣伝していいんですか?!」
槙田 「はい!(笑)」
松永 「えー!アーバンギャルドの戦後70年戦前X年ツアーというツアーを開催致します。」
槙田 「急に改まりましたね(笑)。」
松永 「告知口調になっちゃった(笑)こちらは、そのタイトル通りとても現代の世相を反映したアグレッシブな内容となっております!現代を生きる全ての人たちに来ていただきたいライブとなっております。是非いらして下さい。」
槙田 「うふふ。」
松永 「最近何か友達と会話が弾まないなぁ、会社で浮いてる気がするんだよなぁ。そう思っているアナタ!アーバンギャルドのライブに来ましょう!!!みたいなとこですかね(笑)」
槙田 「最近は天才テレビくんにレギュラー出演などされていますが、これからさらに挑戦したいことはありますか?」
松永 「あ、いま小説を書いてて、年内に何らかのかたちになるかな?って感じなんでそれも気長に待っていてください。ヴィレッジヴァンガードさんも、よろしくお願いします(笑)。」
槙田 「では最後に病めるファンの皆様に一言お願いします。」
松永 「えぇ!なにこれ、『プロフェッショナル』みたいですね!えっと、ステージの上のアイドルだって病んでいる、君たちと同じ人間だ。安心して現場に来よう!」
槙田 「あはははははは!!面白かったです。」
松永 「いやぁどこまでこれ書けるんですかね。」
槙田 「私容赦なく全部書きますよ。」
松永 「ほんとにぃ?適宜調整して下さい。」
槙田 「はい(笑)。ありがとうございました!」
松永 「ありがとうございました!」