INTERVIEW FILE 017 双木昭夫 (ヘアメイクアップアーティスト)

双木　「でも自分が女子だったら、自分でロリータを着たり可愛いものを飾るだけで終わっちゃうけど、男だし美少年でもないから自分がなれない分こうやって形にしたくて。雑誌とか、アーティストとか、アイドルとか。そういうところに自分が可愛い女の子になれないコンプレックスを投影しているんですよ。」

槙田 「なるほどぉ！」

双木　「こうなれたら可愛いなぁ！っていう頭の中で思い描いたものを、できるだけ忠実に再現しようとすると、ヘアメイクだけでは表現しきれない世界になっちゃって、でもそんなに自由にやらせてくれるところってないじゃない(笑)。だからお仕事では出来ない頭の中で描いたものを作りたくてこういう本を作ったんです。」

槙田 「双木さんの頭の中どうなってるんだ(笑)。アクセサリーとかも双木さんが作ってるんですよね。」

双木　「そう。いまキルティングの布バージョンを作ってて。縫って綿入れて。すごく可愛い。」

槙田 「へぇー！見たいなぁ。私とかこういうお洋服って可愛いとは思っても実際に着るとなると勇気がいるんですよ。」

双木　「おたくのグループの若干一名はよく着てくれてるじゃない。」(増井みお)

槙田 「そうなんですよね(笑)。でも私は自分の性格とかも考えちゃうとなかなか着られなくて。でも、だからこそいいんですよね。現実とかけ離れているところが素敵です。双木さん、タレントさんのメイクもして、雑誌もやって、作品作って、アクセサリーまで作って、やることだらけですね。」

双木　「好きなことだから楽しいです。好きな事を仕事にできるなんて、なかなかないですからねぇ。ありがたい。うちらはいいねぇ。アイドルになるなんて夢こそさぁ、みんなが子供の頃言うけど、まさか叶うとは思わない事を叶えてるんだから。」

槙田 「すごいことですよね。」

双木　「さぁこっからどうするかだよね。」

槙田 「本当にそうですよ(笑)。双木さんは完全に自分のスタイルを確立して、それを支持してくれる人がたくさんいてっていうのは、好きなことを仕事にするよりもっと低い確立だと思うので、本当にすごいと思います。」

双木　「そうねぇ、支持してくれる人がいるのが嬉しいし、そういう人を増やしていかなきゃと思うしね。どうしたらいいんですかね。」

槙田 「このまま貫いて下さい！原宿ファッションの最先端じゃないですか。最近のファッションって昔より柔らかい雰囲気になったし。」

双木　「そう！私は10年以上前からずっとこのスタイルなんだけど、数年前からガーリーなのが流行ってきて。でも流行りはいつまで続くか分からないからね。流行りが終わっても私は変わらないからそのまま置いていかれる(笑)。」

槙田 「その変わらないスタイルがすごいです。」

双木　「ずっとやり続けることが大事だよね。他のことができないから、一つのことをやり続けて、たまたま脚光を浴びたけど、ブームが去って飽きられても、またブームがくるかもしれないしね(笑)。」

槙田 「時代は巡りますからね！(笑)。」

双木　「あとは、流行りとか関係なくこういうのが好きな女の子は絶対いるからね。そこに届けばいいなぁ。」

槙田 「こういうドール、ガーリーの世界観が女の子に与える影響って何だと思いますか？」

双木　「道を踏み外させる。」

槙田 「あはは！罪深いですな。」

双木　「イベントとかで女の子に『双木さんの本買いました！』って言われると、大変なことになっちゃった！って思う(笑)。」

槙田 「いいじゃないですか！(笑)」

双木　「あなたそんなにたくさんウィッグつけなくて大丈夫だよみたいな(笑)。」

槙田 「なるほど(笑)。最後になるんですが、これから新たに挑戦したいことはありますか？」

双木　「この本(『なまいきリボン わがままレース』)がまだ薄いので、3倍くらいの厚さにしてヴィレッジヴァンガードに置いて欲しいです！」

槙田 「あはは！ヴィレッジヴァンガード様よろしくお願いします！(笑)」

双木　「よろしくお願いします！」

槙田 「では以上です。ありがとうございました！」

双木　「ありがとうございました！」

※この連載の抜粋版は、ヴィレッジヴァンガードの公式フリーペーパー『VVmagazine』VOL.16にも掲載されています。