INTERVIEW FILE 020 やついいちろう (エレキコミック)
さて・・・2年半の沈黙を破り、突如復活しました「槙田紗子のマキタジャーナル」! 皆さん、スタンディングオベーションで槙田紗子をお迎えください。この間、彼女は自らの名前を冠したフェスを企画・主催するまでになりました。そして記念すべき復帰号のゲストは、自ら「やついフェス」を企画し、今や押しも押されぬ都市型フェスの代表格に育て上げた、やついいちろう(エレキコミック)さん。フェスの大先輩として、槙田さんも、やついさんから学ぶところが多かった模様です。まずは、この対談を読んでから、11月9日の「サコフェス」、そして「やついフェス」に足を運んでください!
やつい 「そんなの全然ありますよ。幕が閉まっている状態で。」
槙田 「時間がないからですかね?」
やつい 「いや、お笑いを転換としか思っていない。根本的に言えば主催が悪いんですけど。別に俺、お前の前座じゃねえし。みたいな気持ちになったりしたから。一組一組に対して、そういう心掛けをしなきゃいけないなって。だから、ネタをやっているときに転換の音を出すなとかね。その時間を利用して、転換はしているけど、どっちも同等だよっていう意識をスタッフさんと揃えるとかね。音を出さないことを徹底して、その理由をちゃんと共有しているっていう状態。」
槙田 「出る側の感覚と、スタッフさんの感覚って、お互いやっていないからどうしても分からない部分はありますよね。」
やつい 「スタッフさんは、いらっしゃらないととてもできないからね。だけど、こうしてくれって言うだけではなくて、なんでそうなのかを共有するっていうのはとても大事だと思います。」
槙田 「やっていく中で、規模が大きくなると、スタッフさんもどんどん増えていくじゃないですか。やついさんが、名前を出してリーダーとしてやっているフェスの中で、チームをどうまとめていくか、意識していることなどありますか?」
やつい 「でも基本的に自分含めた3人が中心になってやっていて、その3人は最初から今年まで全く変わってないんです。」
槙田 「そうなんですね!」
やつい 「で、その3人プラスで、最近若い方たちが推薦で入ってきてくれて一緒にやっています。当日のスタッフさんはたくさんいますけど、基本的にはライブハウスを使った周遊イベントなので、ライブハウスごとに当然、小屋付きのスタッフさんがいらっしゃる。その方たちとのコミュニケーションっていうのは、その3人の中の1人にお任せしたりしていますし。僕がやっているのは、全体的なバランス感覚とか、こういう方に出てもらいたいっていう、いわばコンセプト的なもの。あと実際、チケットを売るというのが一番でかい問題ですけれども、それの責任者ですよね。チケット売れなかったら俺のせいだなと思います。」
槙田 「1年に1回やることが決まっていて、実際どれくらい前から次に向けて動き始めるんですか? 」
やつい 「1年前から動いています。」
槙田 「終わったら、はい次!みたいな。」
やつい 「実際は終わる前から、来年こういう感じにしようっていう話はしていますけどね。」
槙田 「冷静に、300組以上出演者さんのスケジュールを押さえられることがすごいなと思って。」
やつい 「いや、押さえられた人だけが出ているだけで、押さえてないですよ。」
槙田 「にしてもメンツが凄すぎます(笑)。」
やつい 「でも、6月の3週目土日っていうのを決めて、とても分かりやすくしたんですね。1年の計画で、ここにやついフェスあるって分かる状況って大事だなと思って。」
槙田 「この辺に入るだろうな、みたいな。」
やつい 「フジロックだったら7月の最後の土日とか、決まっているじゃないですか。だからみんなオファーがなくても空けておく。やついフェスもそうしたいと思って、6月の3週目の土日って固めました。もし空けといてくれるアーティストさんがいたら分かりやすいんじゃないかなと思って。」
槙田 「ふんふん。ちょっと脱線しちゃうんですけど。今年、バチェラーの方々が出ていたじゃないですか。ステージでは何をされたんですか?」
やつい 「歌合戦です。」
槙田 「あ、歌合戦なんですね。最近バチェラーにはまっていて気になったので。」
やつい 「去年も出てもらったんですけど、去年はシーズン1の人達が出て、歌を歌ったんですよね。今年はシーズン2の方たちが出て、やはり歌を歌ったという。本当にやついフェスだからあるものだと思います。」
槙田 「ですよね。」
やつい 「僕がバチェラージャパンが好きだから。っていうのしかないんですよ。大義名分が。そこが名前を付けといて良かったなと思うところですけど。」
槙田 「ああ。自分と繋げられるというか、自分が好きな人に出てもらう。」
やつい 「何のフェスなのか分からなかったりするものって魅力がない気がしますけどね。ある種のコンセプトに沿ったアーティストさんが出てることで、なんか魅力があるなと思ったりするんですけど。ただお客さんが来そうとか、ただ流行っている人たちを、わーっとブッキングして、ぽーん!ってやるフェスって、なんかな〜って思うんです。なぜこの人たちを呼んでいるのか、理由がいまいち弱いものは魅力も弱くなるのかなと思っていて。そういう意味でやついフェスは誰が出ようが、“俺が好き”っていうコンセプトがあるので何とかなるんです。アイドルさんと、往年のバンドが一緒に出てても、何だこれバラバラじゃんって思うものが一緒に出てても、やついが好きなのか。ってなるし。そういう意味では良かったなと思うけど。その分、リスクもストレスもあるし、文句とか、あらゆるネガティブなものも全部、俺に来ますけどね。」
槙田 「やっぱりそうなんですか。」
やつい 「ポジティブな部分って、あまり上がってこないじゃないですか。でもネガティブなことって上げやすいから。だからそういう意味では、面倒くさいなあと思いました。」
槙田 「というのは。」
やつい 「例えばフジロックだったら、フジロックに文句を言うじゃないですか。主催の日高さんには言わないでしょ。名前が出ちゃっていると、こいつに言おうってなるし、何名前出してんだよみたいなこともあるじゃん。」
槙田 「ほぉ、、、」
やつい 「続けて大きくなっていくとですけどね。そこがマイナスだけども、いい面もあるよということです。サコフェスって、自分の名前を付けているからリスクは大きくなればなるほど大きいけど、サコフェスだからこのメンツなんだなっていう意味っていうか、お客さんの納得度は上がると思います。誰を呼ぼうが。」
槙田 「そうですよね。よく分からない組み合わせのフェスとかを見ると、大人の力を感じてしまうんですよね。これ政治力使ったのかなみたいな。」
やつい 「うん。そういう気持ちになったりすることもあるじゃないですか。やついフェスはそこの嗅覚はかなり強いので。あとは、頑張って俺のフェスに出たところで何もいいことないから、大人たちが寄ってたかってやって来ないっていうのもあるけど。政治的なもので出るとかはないですね。」
槙田 「えー、でも出たい人たくさんいるはずですよ。」
やつい 「いやでも、そこでまでして出てもしょうがなくないですか。フジロックとかだったら分かるけど。やついフェス出たところでさ、別に。」
槙田 「アイドルとか多そうですけどね。」
やつい 「そうですかね。そういう意味では、自分がいいなって思わない人は出てないし。」
槙田 「私は全ジャンルに詳しいわけではないですが、アイドルは分かるので、出演者一覧を見ていると、このグループ出てるんだ、意外!みたいな子たちもいます。知名度関係なく、組み合わせがすごく面白いなと思って。」
やつい 「割と単純なんで、僕のイベントに会いに来てくれて、『アイドルやってるんです。やついフェス出たいです。』とか言われたら、いいっすよ〜!って。」
槙田 「え〜!」
やつい 「そういうこともありますよ。ただ、それで音源聞いてみて、嫌だなと思ったら呼ばないんですけど。自分のイベントにわざわざチケット買って来てくれて、それだけコミュニケーション取りに来てくれたら別に出さない理由がないですよね。そこまでしてくれるんだったら、絶対いいパフォーマンスしてくれるじゃないですか。」
槙田 「そうですよね。出たいと思って出るわけですもんね。」
やつい 「そう。だから断る理由がない。というのはあります。」
槙田 「今後のやついフェスをどうしていきたいですか?」
やつい 「とりあえず10年続けようと思ってはいます。来年が8回目なんで、あと3回はあると思うんですけど。」
槙田 「会場を一気に大きくすることないんですか?野外にしちゃうとか、そういう未来はあり得るんですか?」
やつい 「そうですね。会場にこだわっているわけではないので。やろうとしていることができるなら大きくしてもいいです。現状維持を決意しているわけでも、大きいところは絶対に嫌だという気持ちがあるわけでもないんで。話が来て、それだったら面白いかもとか、より楽しそうだなと思ったらそうします。」
槙田 「お話聞いていて、意外とっていうか、楽しそうな方向に行こうとか、好きなほうで!とか、固くない感じがしました。私、結構固く考えちゃうんで、誰かに出たいですって言ってもらっても、即いいよ〜!って切り替えられないですし。なんかもっと楽しくやろうと思いました。」
やつい 「そうっすね(笑)。フェスはやっぱ楽しくないと。現実の問題がたくさんありますから。」
槙田 「いやでも、本当にチケット売るのって大変ですね(笑)。」
やつい 「でもイベントって毎回それとの戦いだし。」
槙田 「ですね。頑張ります。」