INTERVIEW FILE 022 大木亜希子 (ライター)
不定期にもほどがある「槙田紗子のマキタジャーナル」、突然の最新回配信しました! 槙田紗子が心から敬愛する皆さんにインタビューする本企画ですが、今回は元SDN48で、現在ライターとしても活躍中の大木亜希子さん。彼女が著する『アイドル、やめました。AKB48のセカンドキャリア』が話題を呼ぶ中、もう一人の元アイドル、槙田紗子が公開トークイベントでぶっこみました。あまりに面白かったので、当日の模様をマキタジャーナルでもさらします。 是非、ご一読ください!
槙田 女優さんの世界を経験している亜希子さんからしたら、衝撃でしかないですよね。
大木 衝撃でしかないし、よく分かんないから、取りあえず紋切り型でアイドルを演じるしかないと思って。でも、AKB劇場ってワンステージに一人ずつMCがあるんだけど、私よりMCも苦手で全然喋らない子の方が拍手の量が多いみたいな。
槙田 役者さんの世界は、もちろん事務所の力とかもあるかもしれないけど、売れるためには実力が大事って教わると思うんです。でも、アイドル含め芸能界ってそれが全てじゃないんだってわかった瞬間になんか、はあああんってなりますよね。
大木 なった。はあああん。信念とか崩壊するよね。
槙田 そうですよね。全然、技術レベルとか当てにならないし、なんなんだろうみたいな。それって中にいるとすごく感じるんですよ。例えばですけど、歌の上手さ、ダンスの上手さって、外から見てレベル10ぐらいの子と、レベル6くらいの子がいるとするじゃないですか。中にいるとそれってもう20と0なんですよ。
大木 分かる、分かる。圧倒的差だよね。
槙田 これもう言っちゃいますけど、例えば、ダンスそろってないなって、自分のグループに対して思ってたとするじゃないですか。
大木 人間だもの。
槙田 例えば、同級生がライブ見に来てくれて、感想を聞いても、同級生の目にはある程度ダンス揃って見えてるんですよ。ファンの人の方が友達よりかは、たくさん見てくれてるし、もっと深く分かってくれてると思うけど、でも、中にいて、感じてる差って想像以上に大きいんです。客観的に見るとその差が緩和されるんですよ。おそらくアイドルはみんな感じたことあるんじゃないかな。
大木 いや、分かる。一つの箱に入ってる商品が、はたから見たら大体どれも一緒と思ってるかもしれないけれど、中にいる人たちは、いやいや、白と黒ぐらい違いますから、みたいな。
槙田 高円寺で生きづらさについて語る会になっちゃった。
大木 でもさあ、アイドルはあるよね、やっぱり。
槙田 なんか、白と黒が全員グレーになる感じというか。
大木 一つ聞きたかったのは、失礼にならなかったらいいんだけども、紗子ちゃん、当時、自虐っぽく一番目立たない黄緑担当ですみたいな。
槙田 地味キャラですか。
大木 そうそう、地味キャラ。それを何かのステージで拝見したときに、すごく、ハァハァってしたっていうか。それも戦略だし、一つの手段なんだけれども、なんていうのかな、それを承認欲求の塊の我々からしてみると、果たして本当にそれでいいの?そのポジション。という気持ちがあって、そのことに対して葛藤はあったのか、聞きたいの。
槙田 それが意外とすんなり受け入れていて。私、デビュー当初キャラがないことに悩んでいたんですよ。PASSPO☆のメンバーってキャラ濃いんですよ。
大木 みおちゃんとか、世界観すごいしね。
槙田 そう。いるだけでキャラクターみたいな子もいたし、でも、私って学校にいても、あだ名とかつかない付かないタイプ。特徴がないんですよ。顔も特別かわいいわけじゃないし。で、その特に何もないっていうところに目を付けた大人が、もう地味キャラでいいんじゃない、て言ってきて、何それ!おいしい!ってなったんですよ。キャラが付いた後は全てがやりやすくなりました。
大木 やりやすい、いいね。ちょっとほっとする瞬間だよね。なるほどね。
槙田 そうです。実際に派手か地味かでいったら、圧倒的に地味だったんですよ。なんで、自分と地味っていうキーワードにそんなに差も感じてなかったので、地味に頑張りますとか、地味になんとかしますって言うと、なんかみんな笑ってくれるっていうのが、すごい嬉しくて、とりあえずなんでも言葉の最初に地味にって付けてました(笑)。
大木 なるほどね。それを聞いて思ったのは、本当にどの人生でも言えるかもしれないけれど、素材があって、それは別に無理して変える必要はなくって、その材料がどうやって料理したら光るかは、自分でも分かんないんだけど、大人が目を付けて、はい、そのまんまでよし!このままで商品ね。って、いい経験でしたね。
槙田 そうですね。結構、私が経験したアイドル生活は、ありのままが良しとされてた環境だったんですよ。良くも悪くもルールもそんなになくて、みんな自由にやってた。
大木 自分たちで作っていくっていう感じだもんね。
槙田 そうですね。なので、あんまり制限された記憶がないんですよ。だから今でもありのままで仕事できてるなっていうのはあります。グループさんによっては、髪の毛染めちゃだめですとか、SNS一個投稿するのにもチェックが必要なところがあったり。結構、事務所さんによってルールが違うから、どのグループに入るかによっても、また変わってくるなって。
大木 思考が変わってくるよね、ベースの基礎が。
槙田 はい。グループによっては、これ囲われ過ぎてて、もっと外の世界を見た方方がこの子たちの表現力が上がるんじゃないかって思ったりもするんです。
大木 なるほどねえ。
槙田 そう。だから、こんなことアイドル好きのみなさんの前で言うのは申し訳ないんですけど、私個人的には、たくさん恋をして表現力磨けって思うんですよ。
大木 結論、そうだと思う。
槙田 そう、恋じゃなくてもいいですけど、もっともっと、色んな人と関わって、色んな経験をしたほうが、人に感動を伝えられるって私は思うんで。
大木 そのとおりだと思う。
槙田 狭い世界で生きているから、磨きがかかっていかない。人に見られる職業だから、可愛さだけは磨きかかるんだけど、でもどこか、あか抜けないというか。
大木 それ分かる。論点ちょっとずれちゃうかもだけども、私は規制が割と多くてある種の圧がかかってる状況で芸能界引退しましたと。25歳で初めて会社員になってね、ビジネスメールをクライアントに返すときに、何も知らなかったから、デコデコの顔文字付きでクライアントにメール送っちゃったの。で、編集長にめっちゃ怒られて。
槙田 めちゃくちゃそのメール見てみたいですね。
大木 すごく苦しいですよ。是非また、ご一緒できる日を楽しみにしてまぁす(ハート)みたいな。キャバ嬢さんの営業メールだよね。いや、あきちゃん、ビジネスメールってどれだけやりとりを短くするかだから。ってすっごい冷静に言われて、震えました。あとはビジネス用語でブリッジとか、マージンとか、そういう言葉が打ち合わせに出てくる度に、なるほど分かりましたって言いながら、Googleで調べて、同時翻訳機みたいな感じだよ。私の話になっちゃったけど、その彼女たちが最後に残るものが何もないっていう意味では、絶対に若いうちから官能小説を読むなり、ちょっと変えてほしい。
槙田 そういうのは、本当に必要だと思います。
大木 透明感女優とか透明感アイドルって、30過ぎてからどうなるの問題があるからね。
槙田 でも、アイドルがそうやっていろんなものを経験していってあか抜けていくと、オタクは嫌がるじゃないですか。
大木 皆さん、どうなんですか。
槙田 でも、そこもアイドルの力量だと思うんです。見せ方でどれだけコントロールできるか。オタクって繊細だから。
大木 なんていうか、皆さんも成長していく中で、アイドルも成長していくし、そこでずれが生じたり、本当にいろいろあるよね。
槙田 でもそれも含めて、楽しいみたいなところも、ありませんか?推しが最近変わった!男できたな!とか、そういうこと言ってんのも楽しい、みたいな。
大木 全く〜って言いながら。
槙田 そうそう。それでも、応援し続けてくれるような愛もあれば、切り捨てられるときもあるし。全部ひっくるめて、アイドルの面白さだなと思うんですけど。あ、客席がざわついてますね。
大木 ざわついてますね。
槙田 飲んでくださいね。皆さん。
大木 こうしてイベントに来ていただく分にはやっぱり、うそを言っちゃいけないなって思うんです。今、年齢30に差しかかりましたけど、ようやく、今までアイデンティティーで悩んできた自分のペルソナと本当の自分が合致してきてるところがあって。それはやっぱりアイドル業界のおかげかなと思うんです。紗子ちゃんあれですか、お客さんからの質問コーナーなんか載せますか。
槙田 いいですね。
大木 今の流れおかしかったね。
槙田 いえ、ご提案ありがとうございます。
大木 私たち2人ですごいおしゃべりしそうで。
槙田 そうですね。皆さんが聞きたい話が話せているのか分からないので、もし質問などあれば。なんでもいいので。