INTERVIEW FILE 023 枝優花 (映画監督)
自粛期間中にインスタライブで行われた、映画監督・枝優花さんとの公開マキタジャーナル。せっせと、槙田紗子さんが原稿にまとめてくださいました!2020年のある5月の日の記録としても、是非、お楽しみください。 ここから新しいこと、始めていきましょう!
槙田 なので今、改めて枝ちゃんに質問していくのがこっぱずかしいんだけど、質問していくね。
枝 はーい!
槙田 これはいろんなインタビューで聞かれまくって、答え尽くしたかもしれないですけど、映画監督を目指したきっかけを教えてください。
枝 きっかけっていうか、あまり映画監督を目指したことがなくて。よく、インスタとかに映画監督になりたいけど、どうしたらいいですかって質問が来るんだけど、すごいなと思う。自分は映画監督になりたいって思ったことがなかったから。ていうか、映画監督っておじさんがやるものだと思ってた。
槙田 あはは(笑)ざっくり。
枝 女性の監督もいるって知ってたけど、そんな簡単になれるものじゃないし、そもそもなろうって思ってなかった。でも、映画が好きだったから、大学生になって早稲田の映画サークルに入って。そのときの新歓合宿で、1年生みんなで合同で映画を撮りますってなったのね。早稲田の映画サークルって自由で、何歳から入ってもよくて、私は25歳の日本映画大学の人が監督をやるチームに入って、とにかく映画に関われればよかったから、レフ板でも何でもやります、ぐらいなめっちゃ軽いノリでいたら、撮影の1週間前になって、その25歳の監督が消えて。
槙田 おお。
枝 脚本を持って消えてしまったから、撮影は1週間後だけど何もない状況になって、みんなで話し合ったの。作品をどう作ろう!って。でも、そこで私もそうだよなぁと思ったのが、ゼロから1を生み出す作業ってみんなでやるもんじゃないんだってこと。アイディアが出たところで、それを形にして面白くするのって結局誰か1人が身を削ってやらなきゃいけないことだから、みんなで話し合ってるうちにどんどんつまらないものが出来上がってて、イライラしてきたから「私、やります。」って。
槙田 へえ〜!
枝 それで監督をやったのがきっかけ。昔から、学級委員とかが決まらなくて、クラスが煮詰まってきたときに、その空気に耐えきれなくて、「やります。」って言っちゃうタイプ。
槙田 なるほどね。
枝 謎の、誰も期待してない責任感から監督をやったのがきっかけで。でも、やってみたらすごく楽しくて。それから映画を撮るようになった。だから、映画監督になりたいとは思ってなかったけど、映画に関わりたいと思ってたらこうなっちゃった。
槙田 面白いね。それもめぐり合わせだよ。今、思えばね。
枝 うん。だから、あの当時はその25歳の人をめちゃめちゃ恨んだけど、今はめちゃ感謝してる。あの人が逃げてなかったら、絶対にやってなかった。
槙田 でも、ゼロから1をつくるのは、みんなでやることじゃないっていうのは、本当そうだなって思った。
枝 だって、紗子ちゃんは振付を作ってるじゃん。あれも絶対一人で苦しんで生み出すわけでしょ。
槙田 そうだね。これは性格的な話だけど、例えば枝ちゃんが作りたいイメージがあって、途中で行き詰まって他人にヘルプを出したとして、その人が、こういうのはどうですか?って案を出してくれたとしても、多分、もともと自分の心の中にあった案を選ぶでしょ。
枝 よく分かってんね(笑)。助けてとか思ってるくせに、自分の中でもうやりたいこと決まってたり、自分の中に絶対的な正解があるから、ずるいんだよね。
槙田 いや、めちゃくちゃ分かるよ。
枝 結局、自分がマジで苦しんで生み出さないと、納得できない。頑固だから。ヒントをもらったりはするけどね。でもそれは0から1っていうより、1から100に近いことかもしれない。
槙田 そうだね。確かに。
枝 アイディアの根底みたいなのは、結局自分の中にあるよね。
槙田 枝ちゃんの作品を見てると、すごく枝ちゃんの趣味が出ているというか、どれを見ても枝ちゃんを感じるんだよね。
枝 嬉しい。
槙田 枝ちゃんの作品本当に好きで、さりげなく配信系も全部見てるんですけど。
枝 ありがとうございます。恥ずかしい。
槙田 何に影響されたりしたのかなっていうのはすごい気になってて。人でも、物でも、出来事でもいいから、影響を受けたものが知りたい。
枝 それ、事前にもらった質問事項にあったから、めちゃめちゃ用意しました。この自粛期間、自分の好きだったものを聴き返したり、見返したりする時間を作ってて。音楽でいうと、むちゃくちゃ王道なんですけど、ずっとMr.Childrenが大好きです。
槙田 すごい。物まで用意してくれてありがとう。