文芸書
価格 |
2,200円 |
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判型 |
四六版上製 |
ページ数 |
234ページ |
ISBNコード |
9784778313067 |
2012.4.3 |
書籍の説明
確定死刑囚として37年に及ぶ獄中生活を送る大道寺将司の全句集
棺一基(かんいっき)
四顧(しこ)茫々と
霞みけり
十七字において、かれは塗炭の苦しみをなめつづけ、十七字においてのみかれは、極限の個として、ひと知れずやっと自由なのだ。供述調書より起訴状より判決文より、較べるもおろか、句群にこそかれの真情は巧まず塗りこまれている。俳句にいまや全実存を託したのだ。
――辺見庸「〈奇しき生〉について 序のかわりに」より
大道寺将司は、東アジア反日武装戦線の"狼"部隊のリーダーであり、お召し列車爆破未遂事件(虹作戦)及び三菱重工爆破を含む3件の「連続企業爆破事件」を起こし、1975年逮捕、1979年東京地裁で死刑判決、1987年最高裁で死刑確定した。本書は、30年以上も死刑囚として、また血液癌と闘いながら獄中生活を送る大道寺将司が詠んだ1200句を収録した全句集。
本書出版にあたっては、作家であり(芥川賞受賞)詩人でもある(中原中也賞、高見順賞受賞)辺見庸が全面的に動き、実現させた。また辺見庸自身も脳溢血で倒れた後遺症と大腸癌と闘っている。
辺見庸による跋文では、二人が句を介して知り合い、面会を実現させ、血液癌から来る痛みに句を詠むことを諦めかけた大道寺を「とにかく書け」と励まし、全句集を実現させるまでの経緯が感動的に描かれている。
メディア掲載情報
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- 2016.12.30 『棺一基 大道寺将司全句集』
- 新聞 朝日新聞/詳細リンク - 本の紹介(金子元希)
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社会面記事「死刑囚128人 収容長期化」に本書が紹介されました
著者プロフィール
1948年生まれ。東アジア反日武装戦線“狼”部隊のメンバーであり、お召列車爆破未遂事件(虹作戦)及び三菱重工爆破を含む3件の「連続企業爆破事件」を起こし、1975年逮捕、1979年東京地裁で死刑判決、1987年最高裁で死刑が確定した。2010年に癌(多発性骨髄腫)と判明、獄中で闘病生活を送っている。著作に『明けの星を見上げて』『死刑確定中』『友へ』『鴉の目』がある。