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「この世には宝のなる樹が生えている」
ある日、坂口恭平は気づいた。欲しいもののほとんどが、只で手に入る世界に自分は住んでいるのだと。欲しければ狩り、拾い、貰えばいい。みんなにそれを伝えたい。だから今、吟遊詩人のようなアジテーターとなる。彼の本は強烈なアジテーションなのだ。

――― 東えりか(書評家)

 

坂口氏の新刊は、果たして現代の暮らしというものは、教科書にある「より便利さを求めて」発達したものだろうか? と疑うあなたの良きガイドとなるだろう。
話は変わるが去年まんが喫茶に一週間寝泊りをした。もちろん野宿とダンボールハウスの事を考えた。実行には至らなかったが、もしこの本を読んでたら難なく挑戦していただろう。

――― 小田島等(デザイナー/イラストレーター)

 

「きみ」と呼びかけられて足を止め、雑草のような平易な文体に誘われたその先に、野蛮にして鷹揚とした都市が広がる。酒場でくだまくオヤジの過激思想かもしれないし、仙人が手ほどきする革命実践かもしれない。
『ゼロから始める都市型狩猟採集生活』は反乱書であり教育書であり手引書である。

――― 五所純子(文筆業)

 

この本を世界中の人びとが読んでいればサブプライムローン問題は起こらなかったであろう。というのは冗談だけど、「生活とは何か」をストレートに問うている本書は建築書コーナーだけではなく経済書コーナー で売ってもいいかもしれない。

――― 阪根正行(書店員/ジュンク堂書店新宿店)

 

坂口恭平は天窓を開け放つ。僕たちはそのまばゆい野外の光のなかでしばし戸惑うことになる。そして不意に気づくのだ、自分たちが今までどんなに卑小で、どんなに惨めで、どんなに息苦しい常識や見栄や価値観に、人々が威圧的に「従うべき現実」と呼ぶものに縛られていたかということを。彼からすれば、狭いダンボールの囲いのなかに棲まうことは都市の青空と大地のあいだすべてに棲まうことと同義なのだ。
これが真の「現実」である。夢想ではない。

――― 佐々木中(哲学者/理論宗教学者)

 

ホームレスに学ぶ都市のサバイバル。
平凡な都市の光景が突然反転し、生命力あふれるジャングルに。
これこそが本当のノマド(遊牧民)ワークスタイルだ。

――― 佐々木俊尚(ジャーナリスト)

 

はいまわる赤ちゃんの目に大人たちの機能的な居住空間が無限の遊戯と危険と冒険の空間として出現するように、坂口氏の眼差しは、従来の「ホームレス文化=自己責任」論からもずれたところで、路上生活の驚くべき豊かさを見つめる、見つめさせられていく。
問われるのは僕らの眼差しの絶対的貧困なのだ。

――― 杉田俊介(批評家/ケア労働者)

 

この本は生まれながらにして、都市に暮らす若者たちのための古典だ。

――― 曽我部恵一(ミュージシャン)

 

さまざまな領域でゼロをめざす運動が始まっている。利潤を殖やさないが豊かに生きるための経済のゼロ、膨れあがった人間中心主義を吹き飛ばしていくための幻想のゼロ。坂口恭平は、始まったばかりのゼロ度を求める運動の、フライングすれすれの突出者だ。
清貧ではない。豊かに殖やしながら、同時に消滅していく。ゼロ度社会は来るべき一つの現実なのである。

――― 中沢新一(思想家/人類学者)

 

「狩りと採集」の全く新しいかたち。
ライフスタイルとしての動的平衡が確かにここにはある。
あらためて、エコロジカルとは何か、都会人とは何かを考えさせられた。

――― 福岡伸一(分子生物学者/『生物と無生物のあいだ』著者)

 

この本は、「建築の限界」を徹底的に挑発し、そして同時に「建築の可能性」を示すことに成功している。刺激的なレポートの行間に潜む、豊かさについての冷静な考察に、建築家以上の未来への熱い想いを見た。
現代都市の意味を問う必読の書になることは間違いない。

――― 藤原徹平(建築家)

 

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