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取材・構成:多根清史
*特別マンガ『ピコピコ少年』特別篇は、当ページ後半に掲載!

【PART 1】
“ノスタルジックゲーム漫画”として並び語られることも多い『ピコピコ少年』『岡崎に捧ぐ』。実際、著者の押切蓮介さんと山本さほさんは子ども時代を過ごした地域が近く(神奈川県川崎エリア)、その作品世界で描かれる原風景にはどこか相通じる感触があります。そこで編集部ではゲーマー漫画家双璧によるガチゲーム対談(&対戦)を2回にわたり決行。まずはPART 1、川崎の有名ゲーセン<ウェアハウス>での約2時間の対決後の対談です。

カプコン格ゲーと『夕闇通り探検隊』の影響

取材後になぜか身体能力ゲームを挑む押切先生
取材後になぜか身体能力ゲームを挑む押切先生

――今までやってこられたゲームが漫画の描き方に影響していることはあります?

押切 構成力に関しては映画のほうが影響は大きいんでしょうね。ゲームだとなんだろうな。

杉ちゃん 山本さんについて思うのは、女の子の絵がめっちゃ上手いんですよ。あれって『ストⅡ』とか、ゲームキャラクターのデフォルメの仕方に影響されてるのかな。

山本 私『ストⅡ』とかのキャラクターが大好きで、肉体の描き方が少女漫画とまったく違うんですよ。少女マンガの女性はモデルみたいに細いんですよ、脚とかスラーっとしてて。でも、カプコンとかSNKのキャラクターってすっごい脚が太くて、お尻プリプリってなってて。子供の頃から、そっちのほうが全然カッコいいって思っていて。だから、等身が高い絵を描くと、だいたい肉感的になるんです。

押切 それは見たい。世の中の人は山本先生の等身の低い絵ばかり見て、こういうマンガ家なんだって思い込んでいるし。

――山本先生の絵って実は元カプコンのあきまんさんや西村キヌさんの影響って大きかったんですね。

山本 大きいと思います。『週刊少年ジャンプ』のカラーページとかでキャラクターの紹介が載ってると切り取っていて、それぐらい好きでした。

押切 ゲームの絵を模写すると、顔が小さくて手と脚がとにかくデカイ。そこにヒントがあるんでしょうね。

山田 アクションがわかりやすいんだよね。

押切 漫画の影響を受けたゲームは『夕闇通り探検隊』です。あのゲームとの出会いによって作風が変わった。人間ドラマが面白くて、自分でも描きたいなって思ったわけです。
それまでギャグの殻にずっと閉じこもってた僕がストーリーものを書き始めたのは、完全にあのゲームがきっかけです。

――女子高生が都市伝説を調べて回って、人間関係も変化していくアドベンチャーゲームですよね。

押切 そうです、アドベンチャー系です。でも後にも先にも、影響を受けたのはそれ1本だけです。

老後もゲームがあれば大丈夫

漫画家とその親友、2対2の青春を賭けた対決
漫画家とその親友、2対2の青春を賭けた対決

――それだけゲームが好きなお二人ですが、ゲームから離れた時期ってあったんですか。

押切 ありますよ、18歳~21歳までは完全にマンガ家修業に没頭してましたね。で、プレステ2と『零 Zero』が出たときに復活したんです。それまではマンガに専念してたんだけど、あの頃は山田くんと一番遊んでたよね……ってゲーム離れしてないですね僕。

山田 してないよ!

押切 自分の家では禁じてたんですが、この人の家ではすごいゲームやってた。

――つまりゲーム離れした時期はなかったんですね。

押切 やっぱないなあ。さほ先生は前に、「ゲームより青春のほうが大事じゃないかって思ってた時期がある」って言ってましたよね?

山本 そうです。

押切 僕も18歳のときにちょっとそう思ったんですよ。マンガと人間関係を大事にしようかなって、ちょっとゲームから距離を置いたんですよ。それでだんだん心に余裕が出てきたときに、またゲームを解禁して。

――ゲーム絶ちした後のゲームって楽しいですよね。

押切 すごい楽しい。なんでやめてたんだろう? って。

――山本先生がゲーム離れしていた時期はどうでした?

山本 高校生の時、ゲームより友情を優先しなきゃ、周りがギャルやってるから自分も乗らなきゃ、と思った時期があって。ちょっと無理しておしゃれや化粧をして楽しもうとしたんですけど、やっぱりゲームのほうが楽しくて戻ってきました。

――実際にゲーム絶ちはしたんですか?

山本 いや、岡崎さんとやってました。

杉ちゃん やってんじゃねーか!

山本 岡崎さんの家に行ったときはめっちゃやってましたけど、自分の家ではやめていて。それで3年ぶりに再開するとゲームがめちゃめちゃ進化していて。PS2の後半とPS3の前半かな。全然変わってて、ビックリしました。

――今後はゲーム絶ちすることはなさそうですか?

押切 たぶん60歳になってもやってるんじゃないですかね。いやあ、我々はいい趣味を見つけましたね。

山本 だから私は、老後の心配ないです。趣味のない人は、仕事を辞めると何もすることないじゃないですか。私はゲームがあるので、ぜんぜん大丈夫。

押切 やっぱり幼なじみやゲーム仲間は大切にしましょう!

マンガ『ピコピコ少年』特別篇
“因縁対決少年”公開!

『ピコピコ少年』特別篇 因縁対決少年
著者:押切蓮介

押切蓮介先生と山本さほ先生、そしてそれぞれの親友(『ピコピコ少年』の山田君、『岡崎に捧ぐ』の杉ちゃん)を引き連れての二人対二人ゲーム対戦はどんな結果だったのか…? 待望の『ピコピコ』新作8ページ!

マンガを読む!

コミックス

『ピコピコ少年』シリーズ
著者:押切蓮介
発行:太田出版
いつだって、ゲームがあった。大定番ノスタルジック青春グラフィティ。 『ピコピコ少年』 『ピコピコ少年TURBO』 『ピコピコ少年SUPER』が好評発売中。
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『岡崎に捧ぐ』
著者:山本さほ
発行:小学館
作者・山本さほさんが、実際の幼馴染み・岡崎さんとのちょっと特殊な友情を描いた“超プライベート”なふたりの歴史。
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〈プロフィール〉

押切蓮介(おしきり・れんすけ)

1979年生。1998年『ヤングマガジン』でデビュー。著作に『ピコピコ少年』 『でろでろ』他多数。現在『ピコピコ少年』 『ハイスコアガール』(「ビッグガンガン」)、『ぎゃんぷりん』(「漫画アクション」)、『狭い世界のアイデンティティー』(「モーニング・ツー」)等を連載中。

山本さほ(やまもと・さほ)

1985年生。2014年、『岡崎に捧ぐ』をウェブサイト「note」に掲載し話題に。2015年より「ビッグコミックスペリオール」で『岡崎に捧ぐ』連載開始。現在同作の他、『無慈悲な8bit』(「ファミコン通信」)連載中。

〈関連作品〉

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