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文芸書

鬱屈精神科医、お祓いを試みる

価格

1,760円
(本体1,600円+税)

判型

四六判

ページ数

256ページ

ISBNコード

9784778315849

搬入年月日
[?]

2017.7.12
※各書店・ネット書店により、購入可能となる日は異なります。

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書籍の説明

開けたら春日先生の脳みその中。
凄腕の精神科医の魂が暴走したら、 もう誰にも止められない。
これはもうリノベーションというより「どこでもドア」だと思います。
(穂村弘・歌人)

精神科医は還暦を超えて、さらに危機を迎えていた。自分は親から、呪いをかけられている。どうしても、そこから逃れられない。どうすればいいのか。
小さい頃、盗み聞きした両親の会話(父「あいつ(息子であるわたしのこと)、将来は美容師にしたらどうだろう」。母「そうね」)や、失明を恐れる母の発言(美しい母は失明への恐怖を持っていた。その話を脅迫的に聞かされる息子。無力感しかないが、もし母が視力を失ったら、力関係は逆転し、息子のわたしが主導権を握ることにならないか。不細工な私は彼女の視野には映らなくなるということではないか。そうしたら……)などなど、数々の親の呪いを抱えてきたが、年を取る毎に妄想となって膨らむ一方なのだった。ムージル的に言えば、無自覚のうちに私は不幸におちいっているのかもしれない。いまやモーパッサン式「御祓い」をするしかない。そうして、作者はさまざまな方法を試みる。そして、最後、親の呪いを取り払うために、実家のリノベーションにとりかかる。はたしてお祓いは成功するのか。
前作に続き、私小説的に綴られる精神科医の痛切なる心の叫び。


「混乱している患者には、まず自分の部屋を掃除することを勧めます」。
そう語った精神科医が、自らの魂を救うために「理想の棲み処」を作ろうとする。
理屈には合っているけど……、この家はやばすぎる。
三鷹の古いマンションの扉を開けると、そこは完全な別世界だった。
「おおっ」「恰好いい」
「究極のリノベーションですね」
「これはもう『どこでもドア』のレベルだよ」
という人々の声を聞きながら、私はどきどきが止まらない。
春日先生の脳みその中に閉じ込められたみたいじゃないか。(穂村弘・歌人)

目次

まえがき
第1章 三つの呪いとモーパッサン式「お祓い」術
第2章 お祓いと自己救済と「居心地のよい家」
第3章 薄暗さの誘惑と記憶の断片
第4章 痛いところを衝く人たち
第5章 ニセモノと余生
第6章 隠れ家で息を殺す
第7章 三分間の浄土
あとがき

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著者プロフィール

春日武彦(かすが・たけひこ)
1951年京都府出身。日本医科大学卒。産婦人科医として6年間勤務した後、精神科へ移る。大学病院、都立松沢病院精神科部長、都立墨東病院神経科部長等を経て、現在も臨床に携わる。医学博士、精神科専門医。甲殻類恐怖症。藤枝静男とイギー・ポップに憧れ、ゴルフとカラオケとSNSを嫌悪。著書には『鬱屈精神科医、占いにすがる』(小社)、『無意味なものと不気味なもの』(文藝春秋)、『幸福論』(講談社現代新書)、『精神科医は腹の底で何を考えているか』(幻冬舎新書)、『臨床の詩学』(医学書院)、『緘黙』(新潮文庫)等多数。