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ノンフィクション・人文
価格 |
1,320円 |
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判型 |
A5判並製 |
ページ数 |
83ページ |
ISBNコード |
9784778316945 |
2020.4.23 |
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電子版発売 |
2020.5.15- |
書籍の説明
教育基本法「改正」から10年を経て、日本の教育は一層「人材」養成に重きを置き、一定の子どもたちが「問題のある子ども」、「困難を抱えている子ども」へと分類されていく。かれらは「支援」の対象となり、排除された上で現状の価値尺度への適応を求められる。これは国際的な動向でもある。
「できる―できない」の軸で人びとを判断しようとする価値観は、それに基づく格差を正当化するだけでなく、むしろ平等を実現していると見られている。
戦後最大の殺人事件と言われた相模原障害者施設殺傷事件と、始業式の日に子どもの自死が最多となる「9月1日問題」。2つの深刻な事態に共通する問題こそ「能力主義」なのである。
本書では、人びとが能力主義を疑わずに受け入れるメカニズムを解明し、その呪縛から解かれたあとの社会を想起する。
【電子書籍について】
弊社・太田出版から発売される電子書籍のリリース情報&フェア情報は、電子書籍専門サイトHongram[ホングラム]でチェックできます。
目次
はじめに 能力と社会をめぐる未来語り
伊藤書佳
第一章 「能力論」をめぐる基本的問い
池田賢市
第二章 交換の論理と「能力」
松嶋健
第三章 能力主義を問い直す
市野川容孝
第四章 教育改革の「闇」ともうひとつの物語 〜対話的空間を創る試み〜
菊地栄治
第五章 つながりの中で生きる 〜スペインの試みから考える〜
工藤律子
第六章 近代を生きるための根本課題 〜人間と社会の限界性と向き合う〜
菊地栄治
おわりに 池田賢市
著者プロフィール
池田賢市(いけだ・けんいち)
中央大学文学部教授。専門は教育学、フランスにおける移民の子どもへの教育政策。著書に『フランスの移民と学校教育』(明石書店)、編著『主権者はつくられる』(アドバンテージサーバー)、『「特別の教科道徳」ってなんだ?』(現代書館)、共著『新版近現代教育史』(学文社)など。
市野川容孝(いちのかわ・やすたか)
東京大学大学院総合文化研究科教授。専門は社会学。著書『社会学(ヒューマニティーズ)』(岩波書店)、『身体/生命』(ともに岩波書店)、編著に『労働と思想』(堀之内出版)、『人権の再問』(法律文化社)、共著に『優生学と人間社会』(講談社現代新書)など多数。
伊藤書佳(いとう・ふみか)
編集者・ライター。教育文化総合研究所『教育と文化』編集部。著書に『超ウルトラ原発子ども』(ジャパンマシニスト)、共著に『みんなの放射能入門』(アドバンテージサーバー)、『自立へ追い立てられる社会』(近刊・インパクト出版)など。
菊地栄治(きくち・えいじ)
早稲田大学教育・総合科学学術院教授。専門は教育社会学、教育経営学。一般財団法人教育文化総合研究所所長。著書『希望をつむぐ高校 生徒の現実と向き合う学校改革』(岩波書店)、編著『持続可能な教育社会をつくる―環境・開発・スピリチュアリティー』(せせらぎ出版)、共著『変容する世界と日本のオルタナティブ教育:生を優先する多様性の方へ』(世織書房)など。
工藤律子(くどう・りつこ)
ジャーナリスト。NGO「ストリートチルドレンを考える会」共同代表。著書『ストリートチルドレン』、『ルポ雇用なしで生きる』、『マラス』(第十四回開高健ノンフィクション賞)、『マフィア国家 メキシコ麻薬戦争を生き抜く人々』(ともに岩波書店)、『ギャングを抜けて。-僕は誰も殺さない』(合同出版)など。
松嶋健(まつしま・たけし)
広島大学大学院人間社会科学研究科准教授。専門は文化人類学、医療人類学。著書『プシコ ナウティカ―イタリアの精神医療の人類学』(世界思想社)、共著『文化人類学の思考法』(世界思想社)、編著『トラウマを生きる』、『トラウマを共有する』(京都大学出版会)など。