飯塚浩一郎、ダンサーでありコピーライターであり続ける理由
- Sep.16,2012
飯塚浩一郎は、広告会社「博報堂」のコピーライターであり、ダンスカンパニー「DAZZLE」のダンサー・ディレクターという肩書きを持つ。一見、全く関係のないように見えるふたつの職種には、意外な共通点、相乗効果あるそうだ。ふたつの仕事をミックスすることで生まれる化学反応が、彼にクリエイティブな発想を与え続けているのかもしれない。
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学生時代は、小説家志望だったんです。でも、自分の伝えたいものがあっても、それを伝える手法にこだわりは無いことに気付きました。大学生のとき、色んな表現を体験したくて、格闘技や映像制作を始めて、ダンスも同じ頃スタートしました。僕はコピーライターですけど、広告の仕事に形はないから、メッセージを伝えるのは映像でもグラフィックでもイベントでもいい。手法は、伝えたいものが伝わる一番いい方法を選べばいいから、舞台もそれは一緒ですね。
DAZZLEでは、ダンスを知らない人が見ても楽しめるダンス作品を作りたいんです。そのためには、物語があって、映像があって、飽きさせないような演出があればいいと思いました。そうしないとどんどんマニアックになってしまう。僕が一番好きなクリエイティブは『天空の城ラピュタ』と『AKIRA』なんですけど、メジャー感があるエンターテイメントでありながら、極限の技術とアイデアが芸術性を生み出している。そういうものを作りたいです。
ここ7〜8年は広告の仕事を終えて、深夜にスタジオに入って朝帰るっていう生活を続けていますね。ちなみに、博報堂の名刺には「ダンサー」と記載されたものもあります。ダンスビジネスプロジェクトというのを始めたので、ダンスを使って広告を作れることが武器になるし、ダンスにおいても表現の手法など、広告をやっていたから生かせる部分がたくさんあります。ダンスをダンス界の外に広げたいと思ったら、そのカルチャーの価値観だけで生きていては難しいと思います。技術的に上手いかどうかよりも、人の心をどれだけ動かせるかで勝負したい。広告クリエイティブはその分野では最も進んでいると思いますし、そこにダンスの生々しさや野生・狂気を組み合わせて、自分にしか作れない作品を作っていきたいと思います。
【プロフィール】
飯塚浩一郎(いいづか こういちろう)
株式会社博報堂で、コピーライター・CMプランナーとして働く傍ら、ダンスカンパニーDAZZLEでは、ダンサー・脚本・映像・プロデュースを担当する。世界三大演劇祭の一つであるルーマニアの「シビウ国際演劇祭」やアメリカ最大の振付コンテスト「VIBE」などに参加。イランの「ファジル国際演劇祭」では特別賞と舞台美術賞を受賞するなど、世界各地でスタンディングオベーションを巻き起こしている。
http://www.dazzle-net.jp