バンドを「プレゼン」するロックパーティー「FREE THROW」とは
- Oct.15,2012
弦先誠人、神啓文、タイラダイスケ。3人のDJが、全国で主催しているロックパーティー「FREE THROW」。彼らはどのようにして、DJ×LIVEという従来のクラブシーンではほとんど成立例の無かった、新しいパーティーのスタイルを確立させてきたのか。そしてロックDJという文化に対しての想いとは。クルーの一人、タイラダイスケにインタビューを行った。
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今まで見てきた深夜のパーティーの中で、バンドの間にDJが入るパーティーって、うまくいっているところがあまりなかったんですね。バンドの時は盛り上がるけど、DJのときは、休む形になっちゃうみたいな。でも、僕がライブハウスで働いていたとき、まだそこまでお客さんが入っていなかった頃でしたけど、the telephonesとかすごいカッコ良い若手バンドがいて、彼らはDJへの理解もあった世代だったんです。それで「彼らとなら、うまくやれるかも」と思いました。
僕らは、あくまでもDJのパーティーにバンドが出演するというスタイルなので、基本的には1組のバンドにだけ出演してもらっているんですが、有名・無名関係なく、自分たちDJが呼んだお客さんに、自分たちがカッコいいと思ったバンドのプレゼンをするって場所にしようと思って始めたスタイルなんです。だから、メンバー全員が納得したバンドだけに出演をお願いしています。
自分たちのパーティーの強みは、そういったトータルパッケージだと思っているんです。普段は三人とも個人でDJをしているんですが、三人が集まったときの空気感というか。フリースローだから盛り上がるお馴染みの曲もあったりするので、そういうものも織り交ぜながら、みんなが知らない曲をかけるにしても盛り上がるように繋いだり、有名な曲も普段聴いている感じとは違うように聴かせたり、ただかけるわけじゃなく、布石をうつような選曲を心がけています。基本的には自分が本気で好きな曲だけをかけようと思っていて、それをトータルパッケージとして筋が通ったものにしたいと思っていますね。
ロックのDJって、実はものすごく難しいと思っているんです。たとえばハウスやヒップホップは、ビートを基調に繋いでいくじゃないですか。でもロックってダンスミュージックの要素もあるしヒップホップの要素もあるし、それ以外のジャンルの要素もめちゃくちゃあるんですよね。すごく雑色な音楽というか、切り口が無限にあるんです。ブルーハーツのあとに何をかけようかって思ったときに、クラッシュでもいいし、現代のパンクでもいいし、選択肢が広くて、そのチョイスのセンスがロックDJの力量だと思うんです。
ロックでDJをやるという文化も他のジャンルのDJと比べるとまだ短いのかもしれません。ルールがないというか。難しいけどそこがやりがいでもありますね。まだまだロックDJというのはお客さんの数的にも少数派なので、そのロックDJ文化を確立できたらなと思います。
【プロフィール】
FREE THROW(フリースロー)
2006年5月に弦先誠人、神啓文の両名により始動。2006年12月タイラダイスケの加入により現在の3DJに。DJ×LIVEという従来ほぼ成功例の無かった新しいパーティーのスタイルを確立させ、クラブシーンとライブハウスの垣根を無くし、その距離を縮める。 3人によるジャンルや洋邦新旧の壁を取り払ったDJプレイは、幅広い音楽ファンから高い評価を受け、東京を中心に日本全国ライブハウス、クラブ、フェスを飛び回るDJ Party。
http://freethrowweb.com