クイック・ジャパン vol.106 のコンテンツ
106号紹介「男たちの別れ」
2013.2.01 | 2013.5.07 updated
男たちの別れ
「ちゃんと決断して別れた二人は、決して不幸せにはならない」────内村光良
男たちに、「別れ」の言葉は似合わない。男と男の友情は、勝手に始まり、勝手に終わるものだから。「これからよろしくお願いします」と「さようなら」の言葉を必要とするのは、友情ではなく、恋愛だから。
だが、男たちは時に別れる。そのシチュエーション、出会いと別れのドラマを、最高純度で描き出したのが鈴木おさむの小説『芸人交換日記』であり、同作にオリジナル要素を加え実写化した、内村光良監督の映画『ボクたちの交換日記』だ。
二種類の『交換日記』の主人公は、お笑いの世界に飛び込み、「相方」同士になった二人。物語のちょうど真ん中に出てくる問い掛けは、こうだ。夢を諦める
か、夢を追い続けるか。実は、この選択よりも前に、より大きな選択を男たちはしている。ここで将来を「決める」という、選択だ。
人は、さまざまな選択肢の中に身を置きながら生きている。ものごとを判断するための要素を、すべて見通せているわけではない。だから、人は時に「選ばない」。だが、それもまた「選ばない」という選択だ。意識してもいなくても、人は、決断しながら生きている。
本特集に登場するのは、実力とともに人気も兼ね備えた、いわば「選ばれた」男たちだ。彼らの成功の道のりは実にさまざまだが、共通して言えるのは、「続ける」ことを選んだということだ。そして、どこかで、「選ばれなかった」可能性を胸に抱きながら生きてい
る。彼らの言葉の中には、「選ぶ」と「決める」にまつわる、喜びがあり、悔恨があり、熱いドラマがある。
繰り返し書こう。男たちに、「別れ」の言葉は似合わない。そして、「出会う」ことの数倍いや数万倍、「別れる」という選択にともなう感情は、激しい。もしかしたらそれ以上に激しく厳しいのは、「決める」にまつわる感情だ。
そんな「男たち」が、「別れる」ことを、「決める」。この強烈なシチュエーションを描く映画『ボクたちの交換日記』公開を機に、心の準備を始めてみたいと思う。いつの日か、自分にとって何が一番大切かを「選ぶ」、その日が来た時のために。「選ぶ」ことを「決める」、その時のために。
『ボクたちの交換日記』監督・脚本
内村光良ロングインタビュー
「ちゃんと決断して別れた二人は、決して不幸せにはならない」
◆伊藤淳史が語る"田中"
「相方のことを本当に信頼して大切に思っているけれど、表に出さない男」
◆小出恵介が語る"甲本"
「大切な人たちのために、身を引くっていう選択ができる人」
◆大竹一樹が語る、さまぁ~ずと『ボクたちの交換日記』
「あいつは技術がない分、魂のツッコミなんですよ」
◆対談 鈴木おさむ×ファンキー加藤(FUNKY MONKEY BABYS)
「別れって、終わりじゃなくて、1個の通過点なんです」
◆三村マサカズが語る、さまぁ~ずと『ボクたちの交換日記』
「自分に何かあったとき、最初に頭に浮かぶのは相方だと思う」
◆29歳の芸人座談会
「楽しいんですよ、芸人は。だからこそ現実から常に目を背けようとする」
◆別れなかった男たち① Hi-Hi
「負けたくないやつが相方だったから、解散しないで続けられた」
◆別れなかった男たち② ハマカーン
「相方の人生を6年も無駄にさせたのに、自分だけ別の道に行くのは無責任だと思った」
◆別れなかった男たち③ バイきんぐ
「自分らの笑いを信じていたし、シンプルに笑いが好きだった」
◆カンニング竹山 「解散しても、別れたって、僕らは別々になりようがない」