クイック・ジャパン vol.81 のコンテンツ
81号紹介「漫画の底力」
2008.12.16
暇があれば漫画を読む。手当たりしだい何でも読む。そんな幸福な環境は終焉し、ケータイやネット、ゲームなどさまざまな新興娯楽メディアが読者のお金と時間を奪い、「漫画不況」が当り前の常態となった。
漫画雑誌の総売上よりも、漫画単行本の総売上が上回ってしまったという統計的事実からは、好みの漫画だけをピンポイントで楽しむ読者の姿が見えてくる――。
が、それはもう当たり前なんだから、そのへんの話は止めよう。
「漫画産業が右肩下がり」だから「漫画はつまらなくなった」だとか、雑な議論も禁止。
もっとちゃんと漫画の話をしよう!
第一線で活躍する漫画家たちは、どのような問題意識のもとで自己記録を更新し、漫画史を未来へ一歩進めることに成功したのか?
個々の作品に込められた「突破力」を記録するためには、それ以前の力、「漫画の底力」を記録することが必要だ。
この特集では、実作者の証言をメインに、個々の「突破力」と「底力」を記録し集めて束ねることで、
漫画という表現ジャンル全体が持つ「力」に迫りたい。
すべては漫画のために。
漫画を読むこと、漫画を描くことへの情熱を、
もう一度、何度でも手に入れるために。
・大場つぐみ/小畑 健――『バクマン。』は『DEATH NOTE』の最期から始まる
・小山ゆう――長寿連載を続けるということ
・槇村さとる――「成長」に寄り添い続ける
・神尾葉子――恋愛漫画で在り続けること
・[レポート]井上雄彦「最後のマンガ展」「マンガを読む」ということを体感する
・曽田正人――「キャラクターが動く」とは何か
・[レポート]西島大介の1日漫画教室
・五十嵐大介――「目に見えないもの」をいかにして描くか
・くぼたまこと――何の説明もしないずうずうしさ
・描き下ろし8ページ漫画!! くぼたまこと『天体戦士サンレッド―QJ出張版―』
・新井英樹――漫画の暴力は社会を変えられるか
・[証言]夏目房之介『BSマンガ夜話』に見る、漫画語りの魅力
・オノ・ナツメ――キャラクターは、永遠に広がり続ける
・浅野いにお――誰も「見たことない」漫画を描く
・桃森ミヨシ――ブレない情熱を注ぎ込む
・[評論]大塚英志 近代を擁護するということは「パクリ」を擁護することでもある
・ハロルド作石――音楽が終わったら(―When the music's over.)