クイック・ジャパン vol.82 のコンテンツ
82号紹介「『ピカッ』騒動をめぐって」
2009.2.18
僕らのリアリティ臨界点
昨年10月22日、地方紙「中国新聞」に一つの写真入り記事が掲載された――。
21日午前、広島市の上空に「ピカッ」の白い文字が飛行機で描かれた。
東京の芸術家集団が、平和を訴える作品制作として原爆を意味する言葉を表現したという。
だが、市民や被爆者からは「不快だ」「気持ち悪い」との声が上がった。
市現代美術館(南区)も管蓮の現場に立ち会っており、その判断にも批判が出ている。目撃した市民によると、小型機がスモークを出しながら飛行し、一帯に「ピカッ」の文字が浮かんだ。
(「中国新聞」10月22日朝刊)
記事中の「東京の芸術家集団」とは本誌vol.78で特集したChim↑Pomである。
この新聞記事は同時にネットニュースでも流れ、一時的にChim↑Pomバッシングのような状態を引き起こしたが、事件自体は早くも風化しはじめている。
本誌としてはChim↑Pomを擁護するのでも、批判するのでもなく、まず何があったのかを把握したい。
その上で、Chim↑Pomが広島で行おうとした作品の射程を踏まえつつ、できうることなら自分たちと広島とのリアリティのあり方についても改めて考えてみたいと思う。