クイック・ジャパン vol.88 のコンテンツ

88号紹介「映画『ドラえもん』」

2010.2.02 | 2010.2.04 updated

qj88-03.JPG継承の現在位置


1980年の『のび太の恐竜』から続く映画『ドラえもん』シリーズは2度、大きな転機を迎えている。
1度目は原作者である藤子・F・不二雄が逝去した1996年。遺されていた創作ノートを基に、
当時のスタッフは『ねじ巻き都市冒険記』をつくりあげた。
2度目は20年以上も不変だった声優、メインの制作陣をすべて交代して、新体制がスタートした2005年。
"漫画界の巨星"藤子・F・不二雄の喪失と、キャラクターデザイン&声優の交代―。
2つの出来事が世間に与えた衝撃は、同じくらい大きかった。それだけこのアニメのフォルムが、
幅広い世代の心にとけこみ、愛されてきたという証拠だろう。だからこそ新体制を任された者たちの責任は、とてつもなく重かった。
26年の歴史。実績。頑張ったからといって早晩、埋められるものではない。最新作『のび太の人魚大海戦』は、
継承の途上にある声優5人と、監督の真剣な模索と今日的表現の結晶となった。
2005年から『ドラえもん』を観なくなったというファンもぜひ、観てほしい。
大いなるものを受け継いだ者たちの、全身全霊をこめた答えがここに詰まっている。(文・浅野智哉)

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