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第4章 『モヤさま』は変わってしまうのか?
―――数年前から、深夜で人気を博した番組がゴールデンへ移動する傾向が強くなってますが、必ずしも成功しているとはいえなくて、移動してしばらく経ったら終わっちゃったり、深夜時代と内容が変わってつまらなくなったりという番組が目立ちます。今回、視聴者の方々から送られてきたメールも、そういう状況が前提にありますよね。
伊藤 うん。完全にそういうふうに見られてます。
―――あえて言えば、ゴールデンタイムへの移動を「昇格」って呼んでるのは、もはやテレビの関係者だけなんです。多くの視聴者はそんなこと思ってないし、むしろ『モヤさま』の移動でファンが気にしているのは、番組がどうなっちゃうんだろうということです。
伊藤 もちろん僕はサラリーマンなので、最終的には会社の判断に従わざるを得ない立場なんですけど、終わらないようにいろいろ考えてます。個人としての伊藤隆行は「絶対に終わりません」と明言します。
―――内容的にはどうですか?
伊藤 そのままですね。どこも変えようがないですから(笑)。だけど、いまより面白く感じてもらえるんじゃないかと思っています。観ている人の環境っていうか、日曜の夜7時という晩ごはんを食べたりする時間と、これまでの寝る前にぐだぐだやってる時間の違いによって、番組は同じでも“見方”が変わってくるでしょうから。『モヤさま』は深夜だからあの感じがいいんだって意見もありますけど、ゴールデンタイムで同じことをやれば、よりくだらなく感じるでしょうし。そういうのを『モヤさま』がいま経験しておくのもいいかなと。
―――番組予算は上がるんじゃないですか?
伊藤 多少は。まあ、いままで“テレ東価格”と呼ばれる激安な値段でさまぁ~ずさんにやってもらってたので、それを“普通”に戻すだけでなくなっちゃうと思います。普通と言ってもまだ他局より安いんですけど(苦笑)。『モヤさま』のプロデューサーでもある中村(中村昌哉・極東電視台)さんと話したら「『モヤさま』1回分の予算は、『イッテQ!』のサブ出し(番組内で再生されるVTR)1本以下」だと(笑)。
―――イメージする視聴率はどのくらいですか?
伊藤 いまは平均で3パーセント強だから、ゴールデンタイムでは5~6パーセントくらいかな。
―――日曜夜7時って『田舎に泊まろう!』の後枠ですよね。あれって2桁の視聴率を獲る人気番組だったじゃないですか。その流れで視聴率を評価されてしまう可能性はありませんか?
伊藤 それは言われるでしょうね。社内的にもゴールデンタイムで5~6パーセントじゃ怒られます(笑)。でもこの前の対談(本誌88号掲載)で加地さん(加地倫三・テレビ朝日)とも話しましたけど、70代の方ばかりの10パーセントと、30代の人がたくさんいる6パーセントを比べても、勝ち負けなんてなくなってるんですよ。大切なのは、「この時間のテレビ東京は面白い」っていう評価だと思います。
―――まさに“ブランディング”ですね。
伊藤 やっぱり広い層の人たちに観てほしいです。基本は自分と同世代の人が観て普通に笑えるかどうかなんですけど、そこからより多くの人に問いかけてみたいって気持ちがあります。視聴者の好みに合わせるんじゃなくて、「こういう感じなんですけど?」ってスタンスでやるつもりです。テレビ東京のバラエティ番組ってどうっすか? と。
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