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web special 2013.8
Quick Japan vol.109 百田夏菜子125ページ全力特集号 刊行記念
川上マネージャーを囲む会 part.2
川上アキラ×小島和宏(フリーライター)×藤井直樹(QJ編集長)
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第2章 夏菜子は自我を持ち始めている
藤井 本人へのインタビューは、2日間に渡って行いました。これほど長い時間、話を聞いたのは初めてでしたね。
川上 僕も興味深かったですよ。
小島 そうですね。ただ、インタビュー時間を長くいただけたことはありがたい反面、原稿にまとめるのが本当にしんどかったというか……やっぱり内容がちょっとヘヴィーな部分もあるじゃないですか? 書いていて「これって表に出すべきことなんだろうか?」と何度も何度も悩んで、二度ほど、完全に筆が止まっちゃったんですよ。で、編集長に「申し訳ないけど、今日はもう書けない」と電話をして、待ってもらって。
藤井 かなり苦しんでましたよね。
小島 書き終わってひと息ついたら、血尿が出て、自分でもびっくりしましたよ(苦笑)。文字にすると、ものすごく重く感じる言葉ってあるじゃないですか? でも、取材した音源を聴きなおしてみると、本人はすごくカラッとしゃべっているんですよね。いままで「あんまり自分のことは話したくない」と彼女は言ってましたけど、こういう内容になるんだったら、そりゃそうだなって。でも、たしかにしゃべっている内容は重くても、すでに自分の力や周りの助けで乗り越えてしまった壁なんですよね。だからこそ、こうやってしゃべれるんだろうなぁ、と。本当は読みやすいように、もうちょっと文章を整えるべきなんでしょうけど、今回は極力、彼女の言葉をそのまま載せました。彼女にしかわからない思いだし、多少、言葉が足りなくても、そっちのほうが伝わるかな、と。
川上 きっとそういうことなんだと思いますよ。原稿チェックで削除をお願いしたところってありましたっけ?
藤井 いや、まったくないです。
川上 ですよね? やっぱり本質の部分を話しているからだと思いますよ。
小島 いままでだったら、そういう本質を突いたことを話すときって、必ず川上さんに確認していたじゃないですか? 「これってしゃべっちゃってもいいのかな?」って。でも、今回はそれがまったくなくて、自分から積極的に「こんなことがあったんです」「こんなこともあるんです」としゃべってくれた。
川上 そうなんですよ。それがここ最近の面白いところで、彼女はちゃんとした自我を持ち始めている。それって素晴らしいと思うんですけどね、僕は。
小島 そうなっていったのは今年に入ってからですか?
川上 うーん……もう、加速度的にですよね。だから、どこから、とは言えないですけど、すごいですよ。それに周りが引っ張られている、という。
藤井 グループとしては理想的な形ですよね。
小島 今回は長期密着ドキュメントも書かせていただいたんですけど、あれだけ追っていたのに、いざインタビューをしてみると、ステージを見ているだけではわからない部分がドバドバ出てくるわけですよ。取材対象としてはものすごく興味深いですけど、知れば知るほど、わからなくなってくるという……。今回の特集の中に、「百田夏菜子とは○○○○のような人」という関係者のコメントを集めたページがあったじゃないですか? あれ、僕は答えられないですよ。125ページを使っても答えが出なかったのに、ひとことでは表現できない。
藤井 45名の方に回答していただいた企画ですね。あれは本当に無茶ぶりをしたな、という自覚はあります(苦笑)。でも「なんでもいいから夏菜子ちゃんにコメントをください」というぼんやりしたオファーをするのは嫌だな、と思ったんですよ。ああやってひとつハードルを設けることで、質問に本気で向き合うことになる。協力していただいたみなさんには、ご負担をお掛けして申し訳ないな、という気持ちもありましたけど。
川上 そういえば、あーりんと有安、そしてゆみ先生の答えが重なってましたけど、あれ、本当に別々の場所で、別々のタイミングで聞いているんですよ。それでも重なるところが面白いんだよなぁ~。
構成=小島和宏
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